遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(528) 小説 <青い館>の女(17) 他 神 及び 運命

2024-12-15 11:39:39 | 小説
             神 及び 運命(2024.12.10日作)



 
 神とは 人の心の中にあるもの
 人の哀しみ 苦悩を癒し 救う存在
 人 それぞれの心の中こそが
 神の住む場所
 宗教 宗派に基ずく神など
 宣伝の為の神でしかない
 人がこの世に存在する数だけ
 神は存在し得る 眼には見えない存在
 豪華絢爛 飾り立てたりなどしない
 草生(む)す道端 そこに置かれた
 何気ない一つの石にさえ
 その石が人の手で置かれたものである限り
 神は其処にも存在する

 
 人にはそれぞれ
 持って生まれた運命がある
 人はその
 持って生まれた運命に翻弄されながら
 この世を生きている
 どの様な恵まれない運命を生きる人であれ
 その運命を誠実に生きている限り 他者は誰も
 その人を笑う事は出来ない また
 許される事ではない




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              <青い館>の女(17)





「此処ではなんとなく落ち着かないんだ。まるで、こそこそ悪い事をしている様な気分になって来る。だから、今度からは別の場所で会う様にしてくれないか。わたしの方で電話をするから」
 わたしは加奈子の不安を解く様に穏やかな口調で言った。
 加奈子はそれでもまだ不安気な様子で、戸惑いと困惑の入り混じった顔で、
「でもぉ、お仕事でしているだけの事だしぃ」
 と呟く様に言った。
 わたしへの優しさも所詮は仕事の上での事で、心底から気を許している訳では無いのだ、と言っている様にも受け取れた。
 わたしはそんな加奈子の気持ちへの理解をしながらも、そこに批難の色合いの含まれていない事を読み取ると更に言葉を重ねていた。
「それは勿論、外でも仕事の心算で会ってくれればいいんだ。当然、それだけのものは払うし、そうすれば店へ払う分も含めて全部、君のものになるだろう。君に迷惑を掛ける様な事はしないから心配しなくていいよ」
 加奈子はそれで漸く、僅かながらも心を開いた様子だった。
「お店に払う分もくれるんですかぁ」
 と聞いて来た。
「そう」
 と言ってからわたしは、
「君たちはこの部屋へ来る五万円の中から幾らぐらい貰えるの ?」
 と聞いた。
 加奈子は躊躇う気配を見せたが、すぐに何時もの素直な加奈子に戻って、
「ひと月の成績でお給料が決まるからぁ、幾らっていう事は無いんですけどぉ」
 と言った。
「でも、衣装代や何かは引かれるんじゃないの ?」
 日頃の経験からわたしは、踏み込んだ質問をしていた。
「ええ、それは有るけどぉ」
 加奈子は言った。
「もし、外で会ってくれるんなら、店に払う分と一緒にもう少し上げてもいいよ。月に一度ぐらいになるかも知れないけど、来る時には電話をするから」
 加奈子の揺れている様に見える気持ちに重ねてわたしは言った。
 加奈子はそれで興味を持ったらしかった。
「幾らぐらい呉れるんですかぁ」
 と聞いて来た。
「十万円ではどうだろう ?」
 わたしは直截に言った。
「一回、十万円ですかぁ」
 予想外の金額だったらしく、加奈子は微かな驚きの表情を見せた。
「そう、十万円」
 わたしは言った。
 加奈子の驚く表情を見てもわたしの気持ちに迷いの生まれる事はなかった。
 その金額が安いのか高いのかは、わたしには分からなかった。
<サロン・青い館>で会ってもこの部屋へ来るだけで既に六万円を使っている。
 その事を考えればさして違いはない様に思えた。
 何れにしても、それが無駄金である事に違いは無くて、その金額を提示する事でかえってわたしの気持ちの中では鬱屈した思いが払拭される様な気がした。
「それでぇ、今までと同じ様にしていていいんですかぁ」
 加奈子は初めて興味を持った様に聞いて来た。
「勿論、同じでいい。だけど、前にも言った様にわたしは体調が思わしくないんで、なかなか思い通りにはゆかない。その事だけは承知をして置いて貰いたいんだ」
「そんな事、構わないけどぉ、それでぇ、こっちへ来た時には電話をしてくれるんですかぁ」
「もし、君が承知をしてくれさえすれば、電話をするよ。電話番号を教えて置いてくれれば」
「じゃあ、わたしの携帯の番号を書いて置くのでぇ、そこへ電話をして貰えますかぁ」
 加奈子は初めて乗り気な姿勢を見せて言った。
「うん、君の都合の好い様にすればいい。何時頃に掛ければいいのかも書いて」 
 わたしは言った。
「はい」
 何故わたしはその時、一人の若い女性の気持ちを引き付け得た喜びよりも、底が抜けてしまった様な深い空虚な思いを胸の奥に感じて居たのだろう。
 もう、わたしは、不思議な優しさでわたしの心を満たす一人の若い女に会う為に、いちいち夜の街にたむろする呼び込みの男達の冷笑的な視線を浴びる必要も無い。
 電話一本で何時でも好きな時に会えるのだ。
 それでいて、わたしの心の中に喜びの感情は湧いて来なかった。
 奇妙にも、人生にはぐれてしまった様な寂寥感だけがわたしの心を覆っていた。
 いったい、俺は何処へ行こうと言うのか ?
 こんな気持ちに陥るのは、加奈子の若さの所為(せい)だろうか ?
 これまでの数多くの女性関係の中でも初めて経験する感情だった。
 今のわたしに取ってはだが、何がどうであれ、そうする事でしか自分の気持ちを納得させる事が出来ないのもまた、事実だった。
 何も、深く考える必要は無い。
 気持ちの赴くままに生きればいいのだ。
 もう、残された時間は少ない。
 殊更、わたしが係わらなければならない仕事も無い。
 その夜、わたしは加奈子が小さな紙片に書いた携帯電話の番号と引き換えに五万円を渡した。
「これは、君が何時も親切にしてくれるお礼だ」
 加奈子はわたしの思い掛けない行動にも、今度は躊躇いを見せなかった。
「有難う御座いますぅ」
 と、丁寧に頭を下げて言った。

 再び、加奈子に送られて出た街並みは、夜明けの時刻にも係わらずまだ暗かった。




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               iakeziisan様


                寒くなって来ました
               冬の散歩 大変だと思います
               でも 二人揃っての歩き こんな幸せは無いと思います
               どうぞ 今の時を大切にして下さい
               奥様 それ程の影響は無いとの事 何よりです
               くれぐれも御大事にして下さい
                自然の景色は何時見てもいいものです 心が洗われます
               ですからテレビ等も他の番組はニュースを除いて
               余り見ないのですが自然を映した番組 地方の何気ない日常を描いた番組などは
               選んで見ています
                人々や自然の中の何気ない風景の中に宿る美しさ 尊さ  
               決して華やかなものでは無いのですが
               此処に人が生きるという事の本当の美しさが含まれていると思います
               造ったものでは無い美しさ 自然にしても人間生活にしても
               貴重なものだと思います
                ブログを拝見していて いろいろ考えさせられました 
               有難う御座いました
                川柳 入選作だけに そうだ そうだ 頷き 笑わせられます
               世界中の愚かな指導者達への皮肉も拝見してみたいものです      
                有難う御座いました