極楽(2021、10、27日)
極楽 という桃源郷は ない
しかし 極楽は存在する
極楽...桃源郷を求めて 日々
懸命に生きる ようやく手に入れた
辿り着いた と思った時 極楽は
その先 一歩 先に逃げている それが
極楽 桃源郷では ない
極楽が手に入った 辿り着いた これが求めていたもの
自分の目差した世界 これで満足 極楽 極楽 あとは
安逸 安穏 安易 放逸 気まま そう 思った時 その世界は すでに
死んでいる 死の世界 その中 人は
ただ 朽ちて逝く それだけ 永遠 不滅
安心 安寧 安逸 法楽無限の世界など
あり得ない 極楽 今現在 自身の一歩 先
その先にある 高み 一つの高み その
高みを求め 見つめ 日々 生きる 今を 生きる
自身の足元 その一歩 先 その世界を求めて
今を生きる 生きられ その時 その 時間こそが
人に取っての 最高 最善 最良 最上 幸せ溢れる
極楽 桃源郷 明日を求め 今日も生きる 生きられる
今を生きられる この時間こそが
極楽 その世界
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再び 故郷に帰れず(6)
太陽は中天にかかったまま、まだ衰えない輝きを放っていた。
わたしはまた、汗だくになっていた。ただ、無性に涙が溢れて来て仕方がなかった。
わたしは泣きながら歩いた。かくれんぼをしていて鬼になり、ふと気付いて眼を開けた時にはもう、みんなが家に帰ってしまっていた。辺りには薄紫色の黄昏だけが忍びやかに立ち込めていて、ひんやりとした孤独の冷たさが肌に触れて来る、そんに思いだけが心の底にこびり付いていた。
家へ帰るのだ ! 家へ帰るのだ !
わたしは涙にくれて思った。
ふと、わたしは眼を上げた。
一群の子供達が向こうに見える林の中の道から口々に、「ガーン、ガーン、帯になあれ、たすきになあれ」と歌いながら、野の花を持って走って来た。
ガンの群れが隊列を組んで空を渡っていた。空にはすでに夕焼けがあった。
はるかに遠く小高い山なみが赤い空に薄墨を滲ませたように浮かんでいた。
近くの林の中にも田圃や畑の上にも、黄昏が灰青色の霞を棚引かせていた。
子供達はわたしの存在などには眼もくれなかった。ただ、夕焼けの空を渡ってゆくガンの群れを追う事に気を奪われ、夢中になっていた。怒涛のようにわたしを取り囲むとそのまま左右に分かれ、やがて通り過ぎて行った。
わたしはただただ、その勢いに圧倒され、立ち竦んでいた。
わたしはふと、振り返った。
わたしを通り過ぎて行った子供達はわたしの視線の中で次第に遠くなり、やがて薄もやの中にまぎれて見えなくなった。
"君たちは何処へ行くの ? "
わたしは胸の中で呟いた。
" 家へ帰るんだよ "
無邪気に答える子供達の声が聞こえるように思った。
多分、彼らの家には、既に電燈が灯っていて、夕餉の匂が立ち込めているだろう。
掃き清められた清潔な畳敷きの大広間には、広げられた大きなテーブルの上に数々の食器類が並べられていて、家族みんなが夕餉の膳に着くのを待っているに違いない。
庭ではまだ、野良仕事から帰ったばかりの父や兄達が牛を牛舎に運んだり、農機具の手入れをしたりしているのだろう。
竈(かまど)の前にいるのは母だろうか、祖母だろうか ?
それとも一番年上の姉だろうか ?
前方に子供の頃から馴れ親しんだこんもりとした森が見えて来た。
それを見た途端、わたしはふっと、気持ちの和むのを覚えていた。
やっと、戻って来たーー 。
全身の筋肉が緩んでゆく思いだった。
あれこそが自分の世界だ。ようやく、故郷へ戻って来た !
森は両側を雑草で覆われた砂の道を囲むようにして、わたしが帰る部落へと続いていた。昼でも少し薄暗いその森には様々な生き物達が棲息していた。山鳩、雉、メジロやホオジロ、カラスにトビ、狸もいた。イタチもいた。モグラもいた。ある年、その森で殺人事件の被害者の、まだ若い女性が発見された。
犯人はすぐに捕らえられた。男女の間のもつれが事件の発端だった。
幼いわたしには何かしら他人事のように思えた出来事だった。
わたしは今、その道を歩いていた。
蘇えるのは 総てが懐かしい、昔の出来事のように思えたが、今現在、この、少し薄暗い道を歩いているのは紛れもない現実のわたしだった。わたしは今ここに生きている。
この森を抜ければもう、わたしの家が見えて来る。わたしが生まれて育った家だ。父や母、それに既に一家を構えた兄達が居る。
三
森はわたしに取っての門だった。
その森を抜けた時、わたしの眼前に広がったのは、わが家を取り囲む昔ながらの変わらない風景だった。そして、気が付いた時、わたしは何時の間にか肩に担いでいた大きな袋が無くなっている事を知った。道々、わたしは無意識の内に袋の中身を捨て、歩いていたに違いなかった。わたし自身、意識していた事ではなかったが。
わたしは身軽な、改めて、新たな自分をそこに発見した。もう一度、生きられる。新たな気持ちで生きられる。今、眼の前に見えている、かつての自分を育んでくれたあの家、あの屋敷、そして、この土地と共に。ーーわたしは自分自身に言っていた。
森を抜け、延々と続く畑の中の道を歩いて、大きな竹林に囲まれたわが家の屋敷に辿り着くとわたしは、足音を忍ばせながら、そっと竹林の中へ入って行った。足の下で踏みしめられる竹の葉がカサコソ鳴った。
竹林を抜け、広大な庭の際まで来るとわたしは、家の正面に向かってなおも庭に沿った竹林の中を移動していった。
正面へ来ると、大きな藁屋根の家の障子の開けられた家の中では、今まさに、家族揃っての夕食の最中だった。みんなが電燈の下に集まり、お膳を囲んでそれぞれに箸を動かしていた。
わたしは昔を思い出させるその光景をなお良く見ようとして庭に一歩踏み出した。すると突然、背後で誰かの声がした。
「そごに居るのは悟さんでねえが。そんなとごろで、あにばしてっだ。早ぐこっちさ来う」
声の主は言った。
わたしはギョッとして振り返った。
だが、竹林の暗闇の中では何も見えなかった。
「誰だ ! あんたは」
わたしは言った。
声の主は答えなかった。辺りを窺っても人の気配はなかった。
わたしはこの暗闇の中で誰かに見られているかも知れないと思うと、気持ちが落ち着かなくなった。その誰かを確かめる為に再び竹林の中へ戻ろうとした時、突然、父の声がした。
「悟 ! 悟 ! 出て来う。今更、そんなとごろにかぐれでいでも、しょうがあんめえ」
父は怒っていた。
わたしはその声で一気に緊張感がゆるんで、素直な自分になっていた。
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桂蓮様
有難う御座います
新作 拝見しました とても興味深く 面白く
拝見させて戴きました 幾つもの言語を駆使する方
だからこその御意見が見られて とても面白く
読ませて戴きました それにしても 何事によらず
意識過剰というのは良い結果を生まないようですね
無意識に出来るようになる それでこそ 真に
身に付いた という事なのでしょうね とても面白く
拝見しました
コメント文 相変わらず思わず笑い出しながらの
拝見 実に楽しい御文章です 先生は確かロシア人
でしたよね 良いお方のようで つくづく
どの国の人間でも心の在り様に変わりはないものだと
思います 善い人 悪い人間 一人一人が持つその
個性が結局 その国全体にも影響する それが国家に係
わる仕事をする人間であればなおの事 その点
ロシアの善良な人々は気の毒に思います
コロナではなかった 何よりです
ですが どうぞ これからもお気を付けて 楽しい
御文章をお寄せ下さい
バレー成果の御報告 お待ちしています
今夜(20日) NHKでバレーの放送があります 楽しみに
しているところです
東京大空襲 類まれな経験ですが 現在
ウクライナの人々はその渦中に居るのですね 祈る
ような気持ちで一刻も早い停戦を願っています
東京大空襲では ウクライナ程度の惨状では
ありませんでした 軒並み 広い東京が焼け跡 廃墟と
化していました でも わたくしには そんな状況を
わたくし達にもたらした米軍を恨む気持ちはありません
元はと言えば 我が国の愚かな指導者達が引き起こした
災禍なのですから その愚かな人間達を恨み 蔑む
気持ちの方がはるかに強いのです 彼等は日本国内と
言わず(無論 お国の韓国をも含め)世界中に災いを
もたらし 迷惑をかけたのですから 何時の時代でも
愚かな指導者を抱えた国は不幸なものです
何時も お気に掛けて戴いて有難う御座います
御礼申し上げます
takeziisan様
有難う御座います
農業も楽しいばかりではない 苦労も多い
実感出来ます 植物も生き物 手を抜けばたちまち
見透かされる もっと楽に出来るといいのですが でも
愚痴を言いいい 腰を上げる 嫌なら辞めてしまえば
いいだけの話しで それが出来ないという事は 結構
楽しんでいる という事なのでしょうか
何事に於いてもそんなところがありますね
今回も数々の美しい写真 楽しみながら拝見させて
戴きました 君子欄 見事です 庭に出しっぱなしの
わが家 まだ蕾もないようです
キサス キサス キサス
トリオ ロス パンチョス ナット キングコール
懐かしいですね わたしは特にパンチョスが好きでした
無論 ナット キングコールも あの甘い歌声の魅力
好きです キサス キサス キサス・・・キサス
ラテン語で多分 という意味だと聞いた記憶があります
ラテン語が分からないので何とも言えませんが 男の
甘い囁きと誘惑に 多分ね と言いながら適当に
はぐらかしている魅力的な女性の姿を想像しています
中学生日記 楽しい記事でした思い当たる事
ばかりです
学生寮の思い出 良い思い出ではないのですか
わたくしはダンスは苦手ですが
雑草という草はない わたくしはこの言葉が好きです
その天皇が戦争を引き起こした 天皇は当初は反対の
立場だったようですが 軍部が暴走した
何時の時代でも愚かな人間 愚かな指導者という
人種は存在するもので 困ったものです これも
人間と言う生き物が持つ特徴なのでしょうか
楽しい記事と共に 何時も応援して戴いている事に
感謝致します
有難う御座います
本当に、そう思いますね。ブログも、畑も、スイミングも、山歩きも、疲れるし、大変ですが、脳、身体のためにも良かれと思い、好きでやってるから、続いているんでしょうね。これをいつまで続けられることやら、一寸先は分かりませんが、出来るところまで、続けていきたいものだと思っています。
私にとっての「故郷」は、幼少期を過ごした地ということになりますが、帰省の際等に、この物語の主人公の「心の動き?」に、似たり寄ったりを思いがあったような気がして、続きを楽しみにしています。
有難うございました。
最近バレエ体作りのために
食事制限、頑張っています。
バレエの体というのは、
細長でしなやかな筋肉をつくることです。
でもまー現状は
図太くて短い、硬い筋肉を持って!いることです。
現実は、はい!厳しいですねー
理想に向けて日々頑張るつもり!ですが、
つもりはつもりにすぎず、
実行になれてないのです。
でもまー
一応やっているので、
カロリー大雑把に計算して
タンパク質中心の食事にしているのですが、
中々中年太りした貫禄?が抜けず
しつこいなーと思っているところです。
ご飯の力ってすごいですよね。
食べたくても
気になって
一日に一回に制限してます。
好きなラーメンももうしばらく食べられないし、
とにかく量を制限しているから
足がふらつく時も結構ありますね。
NHKのバレエを観た感想は
ぜひ聞きたいですね。
たまささまの感想は
テストで100点みたいな感じの
問題に全て正しい答えを出したみたいな
そんな感じだから
感想、本当に知りたいです。
私のブログへの感想も
正にそうだ、
それわかったんだ!みたいな感じですしね。
分かってもらうとなんだか安心できますよね。
今回の物語の感想はタマジイさまが
適切に述べていますね。
とにかく、この調子(食事制限)でいくと
昔の平均体重に戻るまで
1ヶ月以上かかりそうです。
或いは、2ヶ月かかるかも、
昔は今の一日分をランチで食べてました。
それにだっぷり満腹するまで夕飯食べていたし、
なのに、運動もしなかったし。
昨日、久しぶりに写真撮ってみましたけど、
はあーっていう感じで
落ち込んでしまいました。
まだまだ脂肪の塊でしたね。
行く道険しくなるばかり!