遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(464) 小説 いつか来た道 また行く道(24) 他 人間 不安

2023-09-10 12:40:48 | つぶやき
           人間とは(2022.10.4日作)


 人間とは
 自分の不足も省みず
 他人の不足を批判するのが
 得意な生きもの


           不安

 
 いろいろ思い巡らし
 あれこれ思案 考慮するから
 不安が生まれる
 心を空っぽ 空にする
 不安の生まれる余地は 無い
 あれこれ 思い巡らし 対処する のでは なく 
 その時 その場 純粋 真っ新(さら)な 心 
 囚われの ない 心 で 眼の前 
 只今現在 その場 その時 事象に向き合い 
 適切 的確 に 対処する そこに
 不安の生まれる余地は ない
 思い悩むな 煩うな 余計な思惑 心の負担
 正しい判断 養う努力を怠るな



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             いつか来た道 また行く道(24)



 

 バスローブ姿のまま浴室へ行くと、中沢の頭から流れ出た血で辺りが汚れていないか確かめた。
 何処にもそれらしい跡はなかった。
 シャワーなどで洗い流されたに違いなかった。
 ひとまずの安心を得るとバスローブの腕を巻くって浴槽の栓を抜いた。
 敷物も洗い桶も椅子も濡れたままだったが、元の場所に戻して整えた。
 何時来るかは分からなかったが、別荘番の老夫婦が来る時までには乾いているだろう。
 浴室内の総てが元の形態を取り戻すと、これで良し、と呟いて浴室を出た。
 その足で運動室へ行ってスーパーマーケットのビニール袋を探し出し、再び浴室へ戻って汚れた運動着や軍手、タオルなどを詰め込んだ。
 別の袋には汗まみれの下着を入れた。
 運動着やタオルの数が違っていても別荘番の夫婦には分からない事だ。 
 その場で先程脱いだ自分の服に着替えた。
 下着は着けないままだった。
 鏡に向かって髪にブラシを入れた。
 イヤリングも付け、腕時を嵌めた。
 指輪は絆創膏だらけの指には入らなかった。
 口紅も眉も引かなかった。
 化粧道具は車の中だ。
 どうせ、暗い夜道を走るのだ。人の眼など気にする事はない。
 それにしても、絆創膏だらけの手が何をするにしても不自由だった。自分の手ではないかのようだった。
 こんな手で東京へ帰って仕事が出来るのかしら ? 人前に出せる手ではない。
 脱いだバスローブは丁寧に畳んで脱衣所の棚に戻した。
 一度、肌に触れた事が気になったが、洗っている暇はない。
 広間に戻って時計を見ると三時半を過ぎていた。
 そろそろ出ようか ?
 もう少し休んでいたかったが時間がない。
 これから先、疲れた体で暗い夜道を走る緊張感を思うと心が重く気が滅入った。
 それでもぐずぐずしている暇はない。
 脱衣室に置いたままになっていた二つのビニール袋を持って来てテーブルの上に置き、再び時間を確かめた。
 それにしても、朝の遅い今の季節で良かった、と思った。
 春から夏にかけての季節だったら、間もなく東の空が白みはじめるだろう。
 いけない ! シャベルを家の横に立て掛けて置いたままだ。
 又してもの失態に体中が凍る思いがした。
 手にした二つのビニール袋をテーブルの上に置いて、すぐに玄関へ走った。
 玄関の前には汚れた長靴が脱いだままになっていた。
 これも片付けなければ・・・・
 先程、泥を拭き取たとはいえ長靴の汚れは一目瞭然だった。
 再び広間に戻ってビニール袋から濡れたタオルを取り出し、手にして玄関へ戻った。
 長靴の汚れを丁寧に拭き取って靴入れにしまった。
 その足でシャベルの置いてある場所へ向かった。
 シャベルの泥も丁寧に拭き取ってから物置に収めた。
 玄関へ戻ろうとして、ふと、先程、中沢の死体を埋めた場所の様子が気になって確かめてみる気になった。 
 小走りに走って現場へ向かった。
 分厚い落ち葉で覆われた現場は暗闇の中、木立の間から漏れる僅かな星明りで見る限り、何処がどうなのか見極めるのは難しかった。
 安心感に満たされた。
 よし、これで良し、深い満足感と共に呟いた。
 その満足感と共に現場を後にした。
 
 四時少し前に別荘を出た。
 中沢の車は車庫に残したままだった。
 適当な時期を見計らって始末をする心算でいた。
 深い山の中の人眼に付かない場所で谷底へでも突き落としてしまうのだ。
 そうだ、あいつの車の中には麻薬が入っているはずだ。
 急に思い出したが、わざわざ時間を掛けて取りに戻る気にはなれなかった。   
 車を処分する時に一緒に処分してしまえばいい。
 まだ、夜の明ける気配はなかった。
 周囲の山々の黒い影と夜空の濃い蒼の中に煌めく星が鮮やかだった。
 明け方は近いようだった。寒さが増して来た。
 下着を着けない体にはその寒さが浸みた。
 車の暖房を入れた。
 一気に、寝静まった家々が影だけを見せている部落の中を走り抜けた。
 高速道路は使用しなかった。人眼に付かない場所を走る事だけを考えていた。
 長野市を過ぎて間もなく、ようやく薄っすらと夜明けの気配が感じられるようになって来た。
 車の流れは国道へ出てからも少なかった。
 速度に任せて前方だけを見詰めていると、暖房の暖気に暖められた神経が弛緩して来て、知らず知らずに瞼が閉じそうになった。
 ハンドルを握る手から力が抜け、前のめりになって慌てて我に返った。
 何をやってるんだ ! 居眠りをしていて事故でも起こしたら大変な事になるぞ !
 自分を叱責した。
 助手席に置いた紙袋から缶コーヒーを取り出して口に運んだ。
 その缶コーヒーも、もう終わりだった。
 松本市に入って間もなく、パトロールカーに追走された。
 なんだろう ? 速度違反はしてない筈なのに・・・・
 まさか、わたしのして来た事を嗅ぎ付けた訳でもないだろうが。
 パトロールカーの動向を探りながら慎重に車を走らせた。
 もし、車を停められ、職務質問されたらどうしょう ?
 後ろに入っているびしょ濡れの下着や、汚れた運動着などを見たら警官はなんて思うだろう ?
 急に胸の動悸が高まった。
 緊張感で息苦しくなった。
 ハンドルを握る手に力が入った。
 警察の車の追走はわたしに取っては長い間続いた。
 比較的、大きな交差点に来た時、パトロールカーは右折をして行った。
 ああ、良かった。
 体中の緊張感が一気にほぐれた。
 と同時に早くも、周囲のなんとはない小さな出来事に気を使い、神経過敏になっている自分に気付いて愕然とした。
 これからの日々、毎日をこうして小さな事にも怯えながら暮らしてゆかなければならないのかと思うと気持ちが打ちのめされ、暗澹たる思いに陥った。
 そして更には、わたしの別荘がある長野県内で、普段は滅多に眼にする事もない白い大きな外車が朝早く、国道を走っていた事が警察の眼にはどのように映っていたのかと考えると、また新たな心配の種が湧き上がった。
 深い印象を残してしまったのではないか。
 もしもの時には、その事が思わぬ結果を・・・・。
 あれこれ思えば思う程、心配の種は増すばかりだった。

 実家に着いた時には九時を過ぎていた。
 長い道程だった。




            
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             takeziixn様


              「ユール・ネバ・ネバ・ノウ」
             知りませんでした プラターズは好きだったのですが
               「九月になれば」 これも知りませんでした        
             評判になった映画はほとんど観ていると自負していたのですが 
             ジーナ ロロプリジーダ 世界一美しい女性と言われた女優ですね
             ロック ハドソン アメリカには綺羅星の如く良い男優が(勿論女優もですが)居ますよね
             さすがハリウッドです
              牧野富太郎 よく出掛ける気になりました
             好奇心 衰えていないという証拠でしょうか
              それにしても腰痛 感覚分かります わたくしもそれ程ではありませんが
             以前はそんな事もありました それも自己流体操を続けるうちに
             何となく良くなって来ました
             今は膝に微妙な痛みがありますが 歩けないほどではりません
             この痛みも自己流で克服しょうと頑張っているところです
             それにしても千メートル よく泳ぎます 感服です
              この間 日経新聞に一日歩く歩数は一万歩は要らないと出ていました
             七千から八千で有効だと言う事でした。
             万歩計はそれを造った会社がそう定め為 それが定着したのだと言う事でした
             日々 農作業をしたり お歩きになっている事が腰痛にも係わらず
             体力を維持してるのかも知れませんね
              川柳 相変わらず楽しいです
             皆さん 良い眼を持っていらっしゃいます
              寄り合い家族も期待しています
              美しい花々 新鮮な野菜 眼を楽しませて戴きました 
              有難う御座いました




             
             桂蓮様


              体調不良の折り コメント有難う御座います
             どうぞ御無理をなさらぬ様にして下さい
             それにしても体調回復にはバレーは最適ですね
             わたくしもやはりクラシックの方を好みます
             何よりも優雅で美しいです
             そこが好きです
              記事の冒頭の写真 何時も楽しく心地良く拝見させて戴いています
             日本の四季の風景も実は素晴らしいのですが 御写真で拝見する
             アメリカの風景には自然の風景でありながら 何処か異なった風情が
             感じられるのです 日本の宝石のような風景とは違った大きな空気が何故か
             一つ一つに感じられます
             そこが楽しいのです
             アメリカ映画などでよく見る眼も眩むような風景
             その雄大さに心惹かれのと同じような心理だと思います
              新作が見当たりませんでしたので 過去の御文章を読ませて戴きしました
             死 炭素への還元
             死は平等 死の前では誰もが謙虚にならざるを得ません
             どんな富豪であっても著名人であっても また路上に生きる
             貧しい人々であっても 定めらた命の終わりに抗う事は出来ません
             死は総てを流し去って逝きます 故に人はせめて    
             今生きている この瞬間を大切に生きる事より他に出来る事は
             ないのではないでしょうか
             それでも世の中 この世界はいろいろ人間の手の及ぶ事のない不
             思議さに満ちているものですね 
             生かされている事に感謝感激 良いお言葉です
              再読にもかかわらず改めて面白く拝見させて戴きました
              有難う御座います










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