久し振りの観劇に心が騒ぐかと思ったけど、やはりどこか冷めている。元々好きでないというのが大きな一因。
観にいけばそれはそれで面白い。それなのに、それに端を発してハマるということもなかった。中には失敗したなぁと思った芝居もある。だが70~80%は満足している。
シアタークリエ、……1年ぶり? いや、もっとかな?
家に帰っても決まったスケジュールをしゅくしゅくこなすだけ。ならば、代わり映えしない毎日に変化を………………。――行くか!
何をやっているか? それはさほど問題じゃない。とりあえず行くこと。これに意義があって、これで少しは変化を与えられる。これが実に大きい。
ショーウインドの中に公演ポスターが貼ってあった。「雪まろげ」……変わった名前だ。何人かの女性が着物を着ている。が、どうやら時代劇とも違うようだ。皆が役に扮し化粧しているから誰が誰だかよく判らない。端っこに、隠れるように出演者の名があった。
あ! あー? ……………………。
高畑淳子。この名、今だからこそ目を引く。ほー、ほー、知らなかった。関心が勝った。
贖罪の意味も込めて舞台稽古に励んでいると、メディアは報じていた。その舞台というのがこれだったのだ。なるほどなるほど。興味がいささかから倍に膨らんでいく。
しかしながら話題としては進行形ではないからもう古い? だが大きな反響を呼んだ。
どうしても色眼鏡でみてしまう。あの子の母親。その見方はさまざま。同情や批判。一時期これが日本中に渦巻いていた。
ここに来ている観客は僕のように知らずに来た人たちではないだろう。ほとんどが好意的な人たち。
主役は、ばかキャラを演じる高畑淳子。心配事があればどうしてもそれに引きずられるもの。しかしそれを感じさせないところが役者。そうでもなければ客も笑えない。実はこの舞台は喜劇だった。
週刊文春というセリフが突然、舞台の誰かから飛び出した。勿論台本通りなのだろうが、敢えてそこに触れるところなぞは、監督さんのユーモアあふれた演出。これに感服!
僕的にも心が和んだ瞬間。思わず吹き出して笑っていた。面白い仕掛けに、彼女の反応は? 皆ここに注目したのではないだろうか。本人は真面目な顔でいる。
感想だが、しゃべりの一番上手かったのは柴田りえ。高畑淳子は座長だけあってすごく頑張っていたが、心なしかぎこちなさがところどころに目についた。
総評、機知に富んだウイットが様々な場面に、そして絶妙に織り込まれいてとても面白かった。