僕にとってその人はすごく稀有な人に映った。
それは国際○○バスに乗ったときのこと。
車内は立っている人が数人いる程度でさほど混んでいるという感じではなかった。
時おり予期せぬバスの揺れがあった。少し運転が乱暴なのでは?
僕はバスの大きなフロントガラスから前方を眺めていた。
その時、何となく目の端に車内のバックミラーが見えた。そこに映っているのはバスの運転手。
……うん!二度見した。うーん?
細目の真っ黒いサングラスの上に、きれいにカットされた逆八の字の眉があった。更にその人の唇の上に、これもまたきれいにカットされ整えられた髭が見えた。
え!えー? これって、こういう人って、反社会的勢力の人たちに多いよな、と僕は一瞬思ったが、この人は違う。だってキチンとこのバスの運転手さんをやっているじゃないか。
そ、そうなんだ。
冬にサングラス。でも目の弱い人は冬でも掛けている時がある。それはそれでいいとして、眉。これは、その個人の問題。だから、他人がとやかく言うのもおかしい。となれば最後に髭。ひげ、ヒゲ。これは、どうなんだろう。でもこれはその人の個性だから、これも何の問題もないのかもしれない。
客に不快感さえ与えなければ何も問題ない、のかもしれないし。
うむ。じゃ、全部パスじゃないか(苦笑)!^ ^;;
終点に着いた。
すると運転席から、女性のような可愛いらしい甲高い声がした。
「ありがとうございました」
「ありがとうございました」
降りる一人一人に声を掛けている。
こ、これは、……模範運転手さんじゃないか。
完全にパスでしょうー!(笑)