仕事場で、パソコンやプリンターの廃棄品などを無料で回収に来るという業者があったので、半信半疑ながら頼んだ。ちょっと出かけて戻った時それがなくなっているのに気づいた。
「来た? あれ持ってった?」
「はい」
「そう、良かった。邪魔だったからね。で、ダータだった?」
「ハッ? ……あハイ、無料で持っていきました」
「よかよか」
「ダータって業界用語ですよね」
そういわれ、思い出した。
「ああ、うん。そうかそうか、そういうの今は使わないか」
芸能界用語かどうか知らないがバンド時代「だーた」という言葉はごく当たり前のように使っていた。芸能界って、この逆さ読みが当たり前の世界だった。
ほかにご飯(メシ)はシーメ、等々。
それと特徴があるのはお金。五千円はゲーセン、つまり5はG(ゲー)、千はセン、だからゲーセン。3はEでイーセン、2はDでデーセン、1はC、ツェーセン、8000円はオクターブセンといったがハーセンともいったかな。どうやらこれらはドイツ語読みらしい。
ほかには、「ロハ」という言い方もたまに使った。
要は、「だーた」も「ロハ」も無料という意味。
ちょっと調べてみた。このロハという使い方は大正時代から実際に使われていて只が語源にあるらしい。
つまり「只」は、じっくり文字を見てみると判る。あ=、なるほど、縦読みすればいいのだ。昔の人も結構ユーモアに富んでいた。いつの世も同じだ(笑)。
今でもたまに使うことはあるが、周りではあまり使われている気配はない。
ではでは、おあとがよろしいようで。