数か月ほど前の、まだそれほど知れ渡っていないころ。
「ふめちゅのやえばの曲だよ、これ」と、孫の美月がそういいながらダンスを踊り始めた。
もうじき三歳の孫。
なに? 「ふめちゅのやえば?」
ま、とりあえず、ほほえましく思いながら見ていた。
少しして、孫が一枚のカラー印刷したチラシを持ってきた。見たら「鬼滅の刃」と書いてある。なんだこれ。刀を振り回す危ない絵が描いてある。刀なんかを振り回す漫画、う~む。
ふめちゅのやえばか、ま、仕方ないね。
一応、わかりやすく教えてあげたほうがいいか、と、説明を始めた。
「美月。これはね、いい? これは、ふめちゅのやえば、と読むのでなくて、き・め・つ・の・か・た・な、というんだよ。わかった?」
そこに、ばあばが現れた。
「なにバカなことを教えてるの。刃は、かたなじゃなくて、は。美月、き・め・つ・の・は、だよ。じいじ、変なこと教えないで」
そんなじいじばあばのやり取りはどうでもいい、とばかりに、また楽しそうに踊り始めた。
そこに、小学校2年生の兄がやってきた。会話が聞こえていたのか、
「じいじ、ばあば。これ、きめつのやいばというんだよ。知らないの」
少しバカにしたように言うと、夢中になっていたゲームに目を落とした。
じいじばあばは目を合わせた。^^苦笑!^ ^;;