こともあろうに首長が我先に予防ワクチンを接種してしまった。
こんな出来事がしばらく前にあって、もう取り沙汰されなくなった。
あの時僕は、どこか蜘蛛の糸に似ていると思った。
選挙で選ばれた首長は市民の為に身を粉にし働く人である。更に、自らを犠牲にして市民を助ける、義侠心、男気のある人ととれる。
ワクチンが各市町村に配布されるようになった。まさにそれは蜘蛛の糸。助かる唯一の道。
カンダタはかつて蜘蛛を助けたことがあった。たった一つの善行だがお釈迦様は彼を助けてあげようと地獄に蜘蛛の糸を垂らした。カンダタはそれにつかまった。すると同じ地獄にいた仲間も糸にすがろうと摑まろうとした。そうなると重くなって糸が切れてしまう。それを恐れ、カンダタはこれは俺だけのものだと叫び摑まった仲間を蹴飛ばした。その途端糸は切れてしまった。彼はまた真っ逆さまに落ちていったという話が蜘蛛の糸。
若干異なる気もするが、自分だけ生き残ろうとしたタンダタをお釈迦様は許さなかった。
本来首長ならば、民に先に蜘蛛の糸につかまらせ助けてあげる。そして最後の最後に首長が糸につかまり助かっていく。これが市民の代表となった首長のする行動であろう。
かつて、我先に自ら救助船に乗り助かる道を選んだ韓国のセフォル号船長。
かつてのタイタニック号の船長は、最後まで乗客が下船するまで救出活動を続けた。
これらの出来事と首長の行動を比較してみると、前者は似ているし後者は異にしている。