数日前の夕暮れ時だった。西の窓には真っ黒い富士山そしてその横には丹沢山脈が連なった姿が。
そんな残像の残る翌日、朝起きて窓外に目を向けた。
思わず息を呑んだ。そこに壮大で他を寄せ付けない景観があった。
一夜にして富士山は装いを冬の色に変えていた。
この日が初冠雪と思っていた。すると既に9月末に発表されていたのだ。
とはいえ全体的に白い鎧を被ったのはこの日が初だろう。
そういえば今、外国人観光客が多く訪れている。
ちょうどよかった。
日本の象徴富士の山を見るには今が最適、とくと鑑賞し堪能していってもらいたいものだ。
その日の朝は冷え込んだ。仕事に着ていく服装のことを考えた。
もう冬物のコートを着てもおかしくない。そう考えた。久しぶりにヴィンテージもの、デロリンマンコートを引っ張り出し羽織っていこう。その姿は、行き交う人に感動を与えるかもしれない。