(写真は『三つ数えろ』)
その誘うように輝く瞳と独特の上目遣いから“ザ・ルック(目線)”と呼ばれた往年の名女優ローレン・バコールが12日に死去した。89歳というから大往生といってもいいだろう。バコールは、映画デビュー作『脱出』(44)でいきなり25歳年上の大スター、ボギーことハンフリー・ボガートと共演した。この映画には、彼女が「用があったら口笛を吹いてね。吹き方は知っているでしょ」と言い放つ名場面があるが、実生活でもボギーに“口笛を吹かせて”結婚したことで彼女は一躍有名になった。以後、『三つ数えろ』(46)『キー・ラーゴ』(48)などでもボギーとコンビを組み、私生活でも賢夫人として彼を支えたが、57年にボギーと死別した後は舞台への出演が中心となった…。
とここまでは映画史上のお話。
自分にとっての彼女の印象は、オールスター映画『オリエント急行殺人事件』(74)でのすごみのある往年の名女優役、ジョン・ウェインの最後の映画となった『ラスト・シューティスト』(76)での下宿屋の女主人役などにとどまる。ローレン・バコールはあくまでも伝説上の女優なのだ。
ところで、1982年、歌手のパーティ・ヒギンスは映画『キー・ラーゴ』に触発されて同名の曲を作った。彼は歌詞に「ボギーとバコールのように、愛し合っていたころをもう一度思い出そう」という一節を入れ、別れた恋人に向けてメッセージを送った。その結果、彼らはよりを戻して結婚することができたという。これもまた“バコール伝説”の一つ。
今宵はバコールをしのびながらこの曲を聴いてみようか。
Bertie Higgins - Key Largo はこちら↓
https://www.youtube.com/watch?v=Ru2tsT32pHA#t=164