音響のいい映画館で見るべし
不況のあおりを受けて解散したオーケストラの再起を、若手コンサートマスター(松坂桃李)と謎の指揮者(西田敏行)を中心に描く。『毎日かあさん』(11)などの小林聖太郎が手堅い演出を施し、それを受けて俳優たちも見事なアンサンブル演技を披露する。
楽器演奏と野球のプレーという違いこそあれ、俳優たちの技を見せながら展開する集団再生劇という点では、『アゲイン 28年目の甲子園』とも通じるところがある。
見どころ(聴きどころ)は、クライマックスで演奏されるベートーベンの「運命」とシューベルトの「未完成交響楽」。音響のいい映画館で見るべし。
ところで、オーケストラを描いた映画といえば、ディアナ・ダービン主演の『オーケストラの少女』(37)、フェリーニのドキュメンタリー『オーケストラ・リハーサル』(78)、フランスの映画の『オーケストラ!』(09)
邦画では、群馬交響楽団の黎明期を描いた今井正監督の『ここに泉あり』(55)、テレビドラマから派生した『のだめカンタービレ』などを思い出した。