『映画のメリーゴーラウンド』
「一本の映画の話をすると、その監督の別の映画を思い出す。舞台となった場所は、前にあの映画でも印象的だった、とか。映画の話は止まらない…。ちょっとした小物、小道具が、そこに込められた思いを想像させ、いろいろなことを暗示する」
という、うたい文句の、川本三郎お得意のディテールにこだわった“映画のしりとり遊び”本。だからタイトルはぐるぐる回るメリーゴーラウンド。ウディ・アレンの『女と男の観覧車』(17)で始まって、ぐるっと回って、最後は『アニー・ホール』(77)と『マンハッタン』(79)で終わる。
「ぴあ」アプリ版の連載をまとめたものだから、さらりと読める。川本さんがとうとうWEBにも進出したか、という感じもした。
前にどこかで読んだ話題も少なくないが、最近、物忘れが激しくなった自分から見れば、老いてますます盛ん、といった感じもして、その記憶力の良さはうらやましい限り。
自分が映画の細部に目が行くようになったり、関連付けをするようになったのは、この人の影響が大きい。だから、その健在ぶりがうれしくもあるのだが、クラシック音楽や文学に関する素養では、悔しいかな全くかなわないと改めて思わされた。