「KyodoWeekly」3月22日号から「映画の森」2021年3月の映画」共同通信のニュースサイトに転載。
https://www.kyodo.co.jp/national-culture/2021-05-07_3610440/
「KyodoWeekly」3月22日号から「映画の森」2021年3月の映画」共同通信のニュースサイトに転載。
https://www.kyodo.co.jp/national-culture/2021-05-07_3610440/
『九月の恋と出会うまで』(19)(2019.2.20.ワーナー試写室)
「シラノ・ド・ベルジュラック」を下敷きにした、声だけのタイムトラベル話
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/c4a0097092c888e5267fac3f46ce2d91
『タイタニック』(97)(1998.1.31.渋東シネタワー)
これまでジェームズ・キャメロンが、SFXの新たな可能性を示してきたことは間違いない。だが『ターミネーター2』(91)や『トゥルー・ライズ』(94)のような空虚なストーリー展開は、どうもいただけない…などと思っていたら、今度はタイタニックと来た。
しかも、公開前のインタビューでキャメロンが「今回は移民船としてのタイタニックという側面に光を当て、人間ドラマを重視した」と語り、“理科系監督”の彼がテクノロジー神話にも疑問を投げ掛けていたから、こうした歴史を扱った実話の映画化が好きな自分としては、一見の価値ありだと思った。
結果、3時間を超える長尺でありながら、一気に見せられるし、その昔の『SOSタイタニック/忘れえぬ夜』(58)なとど比べても、視覚的には全く勝負にならないほどすごい。
だが、肝心のストーリーという点では、レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットの身分を超えた恋を特価して描き過ぎたため、結局、キャメロンが述べていた「移民船としてのタイタニック」はただのお題目で終わってしまったのが残念だった。映画から文学的な香りが消えていく感じがした。
で、『タイタニック』の消化不良から、旧作の『SOSタイタニック/忘れえぬ夜』と『レイズ・ザ・タイタニック』(80)をビデオで再見してみた。
前者は、もちろん視覚的には『タイタニック』とは比べるべくもないほど稚拙だが、人間ドラマとしてはこちらの方が上だと改めて感じた。
大昔に見たので随分と記憶が曖昧になっていたのだが、キャメロンが力説していた「移民船としてのタイタニック」も、最後まで演奏を続けたバンドなどの“泣かせのシーン”も、きちんと描かれていたからだ。
後者は、米ソの対立にタイタニックの悲劇を絡めて描き、挙句の果ては、タイトル通りにタイタニックを引き揚げてしまうという荒唐無稽ぶりを発揮する。
公開時には、ニューヨークに曳航されるシーンに感動すら覚えたのだが、海底で朽ち果てたタイタニックの実際の映像を見た今となっては、それも空しく感じられた。
ジェームズ・キャメロン監督来日 あの「タイタニック」が3Dに
https://tvfan.kyodo.co.jp/news/11032
【今の一言】今回の放送は、最近では珍しい2週にわたる前後編とのこと。