『猫は知っていた』(58)(2011.6.12.神保町シアター)
タイトル通り、猫が事件の重要な鍵を握る、仁木悦子原作の本格ミステリを大映が映画化。ある病院内で起きた密室殺人をめぐって、登場人物のほとんどが容疑者とされる中、一人の女性(仁木多鶴子)が明解な推理で事件を解決に導く。
スタッフは、監督・島耕二、脚色・高岩肇、撮影・小原穣治、音楽・大森盛太郎。他の出演者は北原義郎、高松英郎、品川隆二、浦辺粂子ほか。助監督は後に「ガメラ」シリーズを撮る湯浅憲明。
珍品という噂を耳にしていたので以前から見てみたいと思っていた。確かに、殺人事件にそぐわぬ妙に明るい音楽など、思わず笑ってしまうシーンもあったが、全体的には結構しっかりとしたミステリ映画になっていた。
『たそがれの東京タワー』(59)に続いて仁木多鶴子が魅力的。丸ノ内線の後ろに後楽園球場と競輪場が映るのも今となっては貴重な映像だ。仁木は、毎日オリオンズなどで活躍した小野正一投手と結婚したが、若くして亡くなったという。