1960年代、東宝の名脇役として活躍した江原達怡が亡くなった。
加山雄三が主人公の田沼雄一を演じた若大将シリーズの、大学の部活動のマネジャーで、後に雄一の妹の照子(中真千子)と結婚する江口(多湖)役で知られる。
加山とは、黒澤明監督の『椿三十郎』(62)と『赤ひげ』(65)でも共演。後者の冒頭で、加山演じる保本登に嫌味たらたら小石川養生所内を案内し、自分はさっさと養生所から出ていく津川玄三役が出色。
最近作られたNHKのドラマで、津川がずっと養生所に残り、“いいやつ”になっていくのを見て、映画の津川がちょっとかわいそうに思えたものだ。
他方、『独立愚連隊』(59)以来、岡本喜八監督作の常連でもあり、『殺人狂時代』(67)の“鞭の殺し屋”が印象に残る。
テレビの「ウルトラQ」(66)の第1話「ゴメスを倒せ!」や「傷だらけの天使」(74)でも見掛けたが、後者の時はだいぶやつれて見え、その後、ほとんど見掛けなくなってしまった。
役柄の上では、ひ弱で人のいい感じの青年を多く演じたが、実際は、加山とは同い年で、慶応ボーイでスポーツ万能というところも同じだったというから、いわば“裏若大将”だが、俳優としてはいささか線が細かったか。
自分は、ゴジラをはじめ、東宝の映画を見ながら育ったところがあるので、こういう人の訃報を聞くと、感慨深いものがある。