『BISHU 世界でいちばん優しい服』(2024.10.10.オンライン試写)
愛知県で暮らす高校生の神谷史織(服部樹咲)には発達障害があり、明るく誰に対してもフレンドリーな反面、生活習慣へのこだわりが強く苦手なことも多い。
史織の姉でファッションデザイナーの布美(岡崎紗絵)は、東京で自分のブランドを展開していたが、行き詰まって地元に戻ってくる。
父の康孝(吉田栄作)は織物工場が経営難に追い込まれながらも亡き妻との約束を守るため、娘との生活を支えるべく奮闘している。
ある日、史織が描いた服のデザインを見た親友の真理子(長澤樹)の提案で、史織は一宮市のファッションショーへの出品を決意するが…。
愛知県尾張西部から岐阜県西濃にまたがり、世界三大毛織物の産地として注目を集める尾州地域を舞台に、尾州ウールの織物工場を営む家族の物語を描く。監督は西川達郎。
最近は、特定の地方を舞台にした映画が目立つが、この映画もその1本。それ故、毛織物の産地としての尾州地域を知らしめるという点では意味があるが、劇的効果を狙ったにしても、果たして主人公を発達障害にする必要があったのかという疑問が拭えなかった。
服部、長澤のほか、発達障害を持つ中学生を演じた黒川想矢ら、若手俳優たちが好演を見せる。自分は父親の気持ちになって見ていたところがあるので、余計に切なくなった。