「これは鈴鹿央士にほれるやろ」
「何かラストがプロポーズっぽかった」
『釣りバカ日誌3』(90)(1990.12.31.丸の内松竹.併映は『男はつらいよ 寅次郎の休日』)
このシリーズも3作目となった。寅さんのパワーが落ちたためのシリーズ化だったのだが、3作目にして、マドンナ(五月みどり)が登場しての一騒動、浜ちゃんへの懲罰、いろいろあってのハッピーエンドというパターンができてしまった。
それでも、西田敏行と三國連太郎が、初期の「男はつらいよ」の渥美清と森川信のような味を出しているから、何とか見られるのだが、西田と三國のどちらかが欠けてしまえば、シリーズとしては成立しなくなるのだから、実際は寅さん同様の綱渡りのシリーズということになる。
従って、寅さんの跡継ぎができたと素直に喜べない。結局、シリーズにおんぶにだっこするのではなく、もっと斬新な発想を持った若き才能が今の日本映画界には必要なのだと思う。
『釣りバカ日誌4』(91)(1992.1.25.丸の内松竹.併映は『男はつらいよ 寅次郎の告白』)
寅さんもどきの流れだった3で、そろそろ危ないなあと感じさせたものの、この4ではそこそこ盛り返してきた。というより、コメディシリーズとしての笑いのコツをつかんだとも思える。また、西田敏行、三國連太郎、石田ゆりの3人を映画の中心に戻したことが功を奏していた。
ただ、シリーズが始まった時にすでに危惧していたのだが、この3人によるトライアングルのバランスが崩れれば、その瞬間、シリーズとしては成立しなくなってしまう。そう考えると、4本作ってきたが、サイドストーリーだけではもたないことを証明してしまったのだから、結局この危惧を消し去ることはできなかったということだ。