田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『アディオス・アミーゴ』

2024-10-30 22:32:07 | 新作映画を見てみた

『アディオス・アミーゴ』(2024.10.30.シネスイッチ銀座.東京国際映画祭)

 コロンビアで3年間にわたって続いた内戦「千日戦争」末期の1902年。革命軍兵士のアルフレッドは、内戦に加わって消息を絶っている兄に子どもができたことを伝えるため、サンタンデール州のチカモチャ渓谷に赴く。

 アルフレドは渓谷で偶然出会ったアマチュア写真家のベニートと行動を共にする。ベニートも自分の父親を殺した男を探して旅をしていたのだった。それぞれの目的のために旅をする2人の前に、次々と怪しい人物たちが現れる。

 内戦末期のコロンビアの山岳地帯の混乱を、マカロニウェスタンのスタイルで描くアクション映画。戦争、友情、階級格差、植民地支配、などのテーマが渾然一体となってエンターテインメントに昇華されている。

 よくマカロニウエスタンで描かれたメキシコ革命や内戦を、コロンビアに舞台を移してリメークしたような趣がある。全体的に粗削りで混沌としているが、昔の映画を見ているような懐かしい気分になった。写真が重要な役割を果たすところも面白い。

 初めてコロンビアの映画を見た。「アディオス・アミーゴ」とは「さらば友よ」のことだ。こうした珍品を目にすることができるのが映画祭の楽しみの一つ。

 監督イバン・D・ガオナ、出演ウィリントン・ゴルディジョ・ドゥアルテ(アルフレッド?)、クリスティアン・エルナンデス(ベニート?)、マリナ・オラルテ、ヨハニニ・スアレス、サルバドール・ブリッジズ(名前と顔が一致しないので、誰がどの役を演じたのか分からない)

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【ドラマウォッチ】「あのクズを殴ってやりたいんだ」(第4話)

2024-10-30 11:13:35 | ドラマウォッチ

「玉森くんの心揺さぶる演技、何度見ても胸がぎゅっとなる」
「ゆいちゃんのボクシング愛に涙」

https://tvfan.kyodo.co.jp/%e6%9c%aa%e5%88%86%e9%a1%9e/1451979

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『十一人の賊軍』

2024-10-30 09:18:45 | 新作映画を見てみた

『十一人の賊軍』(2024.8.20.東映試写室)

 1868年、鳥羽・伏見の戦いを皮切りに、徳川15代将軍・慶喜を擁する旧幕府軍と、薩摩藩・長州藩を中心とする新政府軍=官軍との間で争われた戊辰戦争。その戦いの最中、新発田藩(現在の新潟県新発田市)で起きた奥羽越列藩同盟軍への裏切りのエピソードを基に、捕らえられていた11人の罪人たちが、決死隊として砦を守る任に就いた様子を描く。

 反骨精神や都合によって変わる正義に抗う人物を数多く描いた脚本家の笠原和夫が、1964年に執筆した幻のプロットを60年の時を経て映画化。笠原は「勝てば官軍、負ければ賊軍」という言葉の通り、勝った方が全て正しく、勝敗によって善悪が決まるのが当たり前の時代に「果たして勝つことだけが正義なのか?」と一石を投じるべく、憎き藩のために命を懸けて砦を守らなければならない罪人たちの葛藤を構想したが、日の目を見ることはなかった。

 今回は、企画・プロデュース紀伊宗之、白石和彌監督、脚本の池上純哉という『孤狼の血』チームが笠原のプロットを受け継ぎ、新たな集団抗争劇として完成させた。

 集団時代劇といえば、黒澤明監督の『七人の侍』(54)や工藤栄一監督『十三人の刺客』(63)が思い浮かぶが、東映つながりという面もあり、テイストとしては『十三人の刺客』の方に近いと感じた。

 白石監督は前作『碁盤斬り』公開の際のインタビューで「新しい企画は時代劇しか考えていない」「復讐の部分は西部劇を意識した」「もっとハードな時代劇を撮ってみたい。例えば、三隅研二監督の映画の、刀で人を斬ったらどうなるかってことに生涯を費やした人とか、刀で斬られて真っ二つになる人とか、そういうことをやってみたい」と語っていた。

 その意味では、バイオレンス味にあふれ、勧善懲悪ではなく、サム・ペキンパーの映画やマカロニウエスタンのにおいすら感じさせるこの映画は、そうした思いを反映させたものになっている。十一人のメンバーも個性的で面白いが、その中でも殺陣も含めて仲野太賀が随一の活躍を見せる。対する家老役の阿部サダヲの悪辣ぶりも見ものだ。

 白石監督は、時代劇の魅力について「時代劇はファンタジー。何でもできるとこが魅力的。無限の可能性がある」と語っていた。その言葉を裏付けるように、今年はこの映画のほかにも、落語を基にした『碁盤斬り』、テレビドラマを発展させた『鬼平犯科帳 血闘』、変化球の『侍タイムスリッパ―』、アイヌ問題を描いた『シサム』といった時代劇映画が製作された。来春公開の『雪の花 -ともに在りて-』では疫病の問題を描いている。まさに多士済々のラインアップ。こうした流れは時代劇復活の兆しを象徴するかのようで喜ばしい限りだ。


【インタビュー】『十一人の賊軍』鞘師里保
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/1db16aabe0bef542312dd4976675e5d6

【インタビュー】『碁盤斬り』白石和彌監督
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/21b29f883095f97d8bf57ae60b055edc

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