田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『レッド・ワン』

2024-11-07 13:21:29 | 新作映画を見てみた

『レッド・ワン』(2024.11.5.ワーナー神谷町試写室)

 クリスマスイブの前夜、コードネーム「レッド・ワン」ことサンタクロース(J・K・シモンズ)が何者かによって誘拐された。心優しくマッチョなサンタクロース護衛隊長のカラム(ドウェイン・ジョンソン)は、サンタの存在を信じない世界一の追跡者にして賞金稼ぎのジャック(クリス・エバンス)と手を組み、サンタ救出のために世界中を飛び回る。だが、彼らの前に立ちはだかる誘拐犯は、サンタの力を利用してある恐ろしい計画を企てていた。

 『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』(17)『ジュマンジ/ネクスト・レベル』(19)のジョンソンとジェイク・カスダン監督が三度タッグを組んだアクションアドベンチャーコメディー。

 例えば、クリスマスを信じない男が主人公のチャールズ・ディケンズの小説『クリスマス・キャロル』を現代風にアレンジした『3人のゴースト』(88)、果たしてサンタクロースは実在するのかを裁判する『三十四丁目の奇蹟』(47)とリメーク作の『34丁目の奇跡』(94)、その名もズバリの『サンタクロース(85)、最近では、やさぐれた暴力サンタが登場する『バイオレント・ナイト』(22)など、クリスマスの奇跡とサンタクロースの映画は、毎年のように手を変え品を変えて作り続けられている。

 今回はサンタが誘拐されたことで、24時間以内に彼を救出しなければクリスマスが中止になるというアイデアが新味だ。そのピンチを回避するために、ザ・ロックと呼ばれスーパーヒーローを演じてきたジョンソンとアベンジャーズでキャプテンアメリカを演じたエバンスがバディとなり、加えて「チャーリーズ・エンジェル」シリーズのルーシー・リューも絡むところが見どころの一つ。北極にあるサンタの基地はハイテクで、クリスマスのサンタのハードワークぶりが描かれるのも面白い。

 全体のテーマは、クリスマス伝説の再構築とひねくれた大人になってしまったジャックの父親としての再出発というお決まりのパターンだが、やはりラストシーンにはほろりとせられる。

 そもそもクリスマスだけを特別な1日だとは考えずに、毎日がクリスマスだと思えば、みんなが幸せに暮らせるのかもしれないが、なかなかそうはいかない。だからこそこうした映画に価値があるのだ。

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第37回東京国際映画祭 審査員特別賞『アディオス・アミーゴ』

2024-11-07 11:52:13 | 映画いろいろ

 第37回東京国際映画祭。グランプリは吉田大八監督、長塚京三主演の『敵』。審査員特別賞にコロンビア製のマカロニウエスタンともいうべき『アディオス・アミーゴ』が選ばれたのは喜ばしい。

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/532993018ce4b4ca971367dacdbb2cb7

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「午後のロードショー」『ハムナプトラ2 黄金のピラミッド』

2024-11-07 08:13:20 | ブラウン管の映画館

『ハムナプトラ2 黄金のピラミッド』(01)(2005.4.10.日曜洋画劇場)

 『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』(99)の続編。リック(ブレンダン・フレイザー)とエヴリン(レイチェル・ワイズ)は結婚し、アレックスという息子が新たなキャラクターとして加わった。

 ある日、一家は遺跡から黄金のブレスレットを発見。アレックスがそれを身に着けたところ、黄金のピラミッドの場所が映し出されるが、呪いでブレスレットが外れなくなってしまう。彼らがブレスレットの謎を探ろうと大英博物館に行くと、倒したはずのイムホテップ(アーノルド・ボスルー)が復活したことを知る。

 さて、この映画のルーツは大昔のボリス・カーロフ主演の『ミイラ再生』(32)。カーロフこそがフランケンシュタインの怪物とミイラ男のイメージを決定付けたのだ。それにしてもスコーピオン・キング(半人半サソリの怪物=ザ・ロック)は傑作だった。最初はカニかエビかと思ったぞ。

【今の一言】ザ・ロックはドウェイン・ジョンソンのこと。この頃は、今のような俳優としての成功は予想できなかった。

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「BSシネマ」『駅 STATION』

2024-11-07 08:00:10 | ブラウン管の映画館

『駅 STATION』(81)(1981.10.1.東洋現像所・技術検討試写会)

 この映画はいささか期待外れだったと言わねばならない。それは、主演・高倉健+脚本・倉本聰+監督・降旗康男という『冬の華』(78)のトリオに加えて、木村大作が撮影を担当すると聞いて、一体どんな映画になるのかという期待が大き過ぎたのかもしれない。

 この映画は、3つの時代に分けた一種のオムニバス形式なのだが、散漫な印象を受け、上映時間がとても長く感じた。

 例えば、最初の1968年の話で、射撃でオリンピック出場を目指す主人公の三上英次の苦悩とマラソンの円谷幸吉の自殺をダブらせるシーンでは、有名な円谷の遺書を挿入しているが、後に何も続かず、それっきりで終わってしまう。

 次の76年の殺人犯・吉松五郎(根津甚八)と妹のすず子(烏丸せつこ)、三上と飲み屋のおかみ・桐子(倍賞千恵子)とのやりとりも唐突な感じがして素直に入り込めない。それぞれのエピソードがつながらない気がして、ひどくとりとめのなさを感じてしまうのだ。

 それに比して、ファーストシーンの標的を狙う三上をスローモーションで撮ったシーン、三上と妻(いしだあゆみ)との汽車を使った駅での別れのシーン、五郎がつかまるところのロング、三上と母親(北林谷栄)との冬の港での別れのシーンなど、木村のカメラワークは素晴らしい。この場合、倉本脚本の人物描写と木村のスペクタクル向きな撮影がかみ合わず、名シーンがかえって浮いてしまった感じがした。

 また、いい俳優が次々に登場しながら、すぐに消えていく。このあたりにも不満が残った。

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