田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』

2024-11-13 21:41:24 | 新作映画を見てみた

『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』(2024.10.31.TOHOシネマズ日比谷.完成披露試写会.東和ピクチャーズからの招待)

 将軍アカシウス(ペドロ・パスカル)率いるローマ帝国軍の侵攻により、愛する妻を殺されたルシアス(ポール・メスカル)。全てを失い、アカシウスへの復讐を胸に誓う彼は、マクリヌス(デンゼル・ワシントン)という謎の男と出会う。

 ルシアスの心の中で燃え盛る怒りに目をつけたマクリヌスの導きによって、ルシアスはローマへ赴き、マクリヌスが所有する剣闘士となり、力だけが物をいうコロセウムでの戦いに参加する。

 帝政ローマ時代の剣闘士(グラディエーター)を描いた『グラディエーター』(00)の24年ぶりの続編。前作に続いてリドリー・スコットが監督。本作の主人公となるルシアスは、前作でラッセル・クロウが演じたマキシマスとルッシラ(コニー・ニールセン)との間に生まれた息子という設定。

 86歳のスコット監督による、ローマの再現度やコロセウムでの剣闘アクションはすごい。前作と比較するとどこまでが実景でどこからがCGなのか見分けがつきにくくなり、よりリアルな映像になっている。

 ただ、なぜ今この続編なのかという疑問は拭えない。このところスコット監督は『最後の決闘裁判』(21)『ハウス・オブ・グッチ』(21)『ナポレオン』(23)と、1作ごとに違う題材を選んで、老いてますます意欲的なところを感じさせたからだ。

 ところが、この映画の場合は、登場人物のキャラクターが前作に比べると皆薄い感じがする。何より主人公のルシアスにあまり魅力がないから、彼の抱く怒りや母との屈折した関係も中途半端な形に見える。それ故、奴隷から奴隷商人に成り上がったワシントン演じるマクリヌスが余計に目立ってしまうという人物描写におけるバランスの悪さが目立つ。

 前作に続いてルッシラを演じたコニー・ニールセンにインタビューした際に、製作意図について尋ねると、「ローマの共和制の問題点は、われわれが生きている今の世界が直面している数々の問題と重なる部分が多い。リドリー・スコット監督もそのことを強く意識していたと思う」と説明してくれた。なるほどそういうことだったのかと少し合点がいった。


『グラディエーターⅡ』トークイベント
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/beb0f7fdacb5939d4f0656233146c995

『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』衣装展
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/9502d3e0eecfdfa73fffa365123ac320

『グラディエーター』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/53ab4794e289d836c1c99bbd24bd08ac


 

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【ドラマウォッチ】「あのクズを殴ってやりたいんだ」(第6話)

2024-11-13 10:39:06 | ドラマウォッチ

「海里がすごく素直になってきたのはほこ美のおかげだね」
「ほこ美、サウスポー開眼!」

https://tvfan.kyodo.co.jp/?p=1453410

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「午後のロードショー」『アンタッチャブル』

2024-11-13 08:30:47 | ブラウン管の映画館

『アンタッチャブル』(87)(1987.10.26.日本劇場)

 

法律=正義ではない

 テレビシリーズの「アンタッチャブル」はうろ覚えでしかない。従って、ブライアン・デ・パルマがどこまで換骨奪胎を行ったのかは定かでないが、今まで彼に付いて回っていた、“ただのヒッチコックもどき”という評価は払拭されたのではないか。

 昔ながらのアメリカの正義を真正面から捉えながら、同時に今風のバイオレンス味も加味した盛り上げ方にはなかなかのものがあった。この際、エイゼンシュタインの『戦艦ポチョムキン』(26)の「オデッサの階段」からの戴きは、デ・パルマ流のサービスとして受け取っておこうと思う。

 この映画は、何より、キャストがいい。まず、禁酒法という一種の悪法が生んだ悪党アル・カポネを、楽しそうに演じたロバート・デ・ニーロの相変わらずの怪演が目を引く。

 対するアンタッチャブルたちも、きっといい俳優になると期待していたケビン・コスナーの奮闘、『アメリカン・グラフィティ』(73)のひ弱な青年役から見事に脱皮したチャールズ・マーティン・スミス、イタリア移民のにおいを感じさせたアンディ・ガルシア、そしてさすがのショーン・コネリーの好演が相まって、魅力的なアンサンブルと、見事なチームワークを生んでいた。

 ただ、正義の側のアンタッチャブルたちが、これだけ魅力的でありながら、対するカポネがあまり憎々しく思えなかったのは、移民の成り上がり故の悲しさや、禁酒法そのものの矛盾を感じさせられたからだろう。だから、最後に法の番人であるエリオット・ネスが勝っても苦さが残るのだ。

 そして、ラストの禁酒法廃止に対するネスの「法律=正義ではない」という一言が皮肉に聞こえ、それに振り回された男たちの空しさを感じさせるなど、デ・パルマにしては珍しく社会派的な面も示される。いよいよヒッチコックの影から解放されたのかと、今後に期待を持たされた。

   

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「BSシネマ」『ナバロンの要塞』

2024-11-13 08:00:21 | ブラウン管の映画館

『ナバロンの要塞』(61)(1972.10.7.~14.土曜洋画劇場)

 第2次大戦下、ドイツ軍はナバロン島の砲台によってケロス島を除くエーゲ海の島々を制圧。ケロス島ではイギリス軍兵士2000人が孤立していた。

 ドイツ軍の攻撃が1週間後に迫る中、連合軍は砲台を破壊するため、登山家のキース・マロリー(グレゴリー・ペック)をはじめとする特別部隊を送りこむが、彼らには次々に危機が降りかかる…。

 アリステア・マクリーンの傑作冒険小説をJ・リー・トンプソン監督が映画化した戦争映画の名作。アカデミー特殊効果賞受賞。

 ペックを中心に、デビッド・ニーブン、アンソニー・クイン、スタンリー・ベイカー、リチャード・ハリス、アンソニー・クエイル、ジェームズ・ダーレン、イレーネ・パパスらが共演。冒険戦争映画としてのスペクタクルな面白さに加えて、俳優たちのアンサンブルも見ものだ。


 

 

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