「ほこ美の幸せはほこ美が決める」
「ほっこーと海里はすんなりとは幸せになれないのか…」
共同通信社が発行する週刊誌『Kyoudo Weekly』(共同ウイークリー)11月25日号で、『映画の森』と題したコラムページに「2024年11月の映画」として、5本の映画を紹介。独断と偏見による五つ星満点で評価した。
出会いの連鎖で見せる群像劇
『アイミタガイ』☆☆☆
新たな集団抗争時代劇
『十一人の賊軍』☆☆☆
人気シリーズの最終章
『ヴェノム:ザ・ラストダンス』☆☆☆
見る者を心地よくだます快作
『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』☆☆☆
密室サスペンス+青春ミステリー
『六人の嘘つきな大学生』☆☆☆
『ザ・バイクライダーズ』(2024.8.21.東宝東和試写室)
1965年、シカゴ。不良とは無縁の日々を送っていたキャシー(ジョディ・カマー)は、けんかっ早くて無口なバイク乗りのベニー(オースティン・バトラー)と出会って5週間で結婚を決める。ベニーは地元の荒くれ者たちを束ねるジョニー(トム・ハーディ)の側近でありながら群れることを嫌い、狂気的な一面を持っていた。
やがてジョニーの一味は「ヴァンダルズ」というモーターサイクルクラブに発展し、各地に支部ができるほど急速に拡大していく。その結果、クラブ内の治安は悪化し、敵対するクラブとの抗争も勃発。暴力とバイクに明け暮れるベニーの危うさにキャシーが不安を覚える中、ヴァンダルズで最悪の事態が起こる。
アメリカの写真家ダニー・ライアンが1965~73年にかけてシカゴのバイクライダーの日常をとらえた同名写真集にインスパイアされた作品で、伝説的モーターサイクルクラブの栄枯盛衰を描く。監督・脚本は『MUD マッド』(12)『ラビング 愛という名前のふたり』(16)のジェフ・ニコルズ。
ノスタルジックな雰囲気があるこの映画は、60年代のバイクカルチャー(バイク、ジャケット、ブーツ、ワッペン、酒とたばこ、ロック、リーゼント、そして写真…)に興味がある人にはたまらないものがあるだろう。
だが、たとえそうでなくても、ライダーたちの群像劇として楽しめるし、その中から、失われた時代への郷愁や、リーダーの存在、組織を運営する難しさなどが浮かび上がってくるところが面白い。
そのアウトローたちについて、女性であるキャシーがインタビューを受けながら、一歩引いた目で当時を振り返るという構成もユニーク。ハーディやバトラー、マイケル・シャノンらの渋い演技も見ものだ。