楽しい時間はあっという間に過ぎてゆくものだ。お茶会は予定時間をとっくに過ぎていたから、登志子さんと旦那さんが間を見計らって、ミサに参列した方々に向けてご挨拶をされ解散となった。
追悼ミサという弔いに初めて参列したけれど、このような追悼の形もよいものだなと想っていると、翠さんがやってきてくれて「またお会いましょうね。」と、再会の約束をした。
今日は夕飯の準備をしなくてもいいから時間に余裕がある。手持ち無沙汰になった私は、登志子さんのお願いしてお茶会の後片付けを手伝わせてもらった。登志子さんの話し方はとても魅力的で、その会話力を会得したいと思うほどだ。時頼、二人して大きな声で笑ってしまうものだから、周りの人たちが「なになに?」と、聞いてくるほどに会話が弾んだ。
それでも、二人でテーブルを拭いている時、登志子さんはふと手を止め、ゆっくり背を伸ばすと、ひとり言のように「雫さんみたいな人がお嫁さんだったらよかったかな・・・。」と、呟いた。私は聞こえないふりをして黙々とテーブルを拭き続けた。
片付けが終わり窓の外を見ると、いつの間にか街灯の明かりが夜道を照らしていて、その明かりの中に雪が舞っているのが見えた。登志子さんと旦那さんは、皆に「今日はお疲れ様でした。皆さまのおかげでよい追悼式が行えました。外は雪が降っているみたいですので、お帰りの際は気を付けてください。」と挨拶をされた。私もおばさまや天沢君のご両親に再度お礼を言って、帰宅しようとすると天沢君に呼び止められた。
「雫。家まで送ってゆくよ。」
「えっ、いいの?」
「遠慮するなよ。」
「そう。じゃあ、お願いします。」と、あっさりと甘えた。この様子を見ていた登志子さんは「雫さん。念を押すようだけど、気をつけなさいよ。相手はイタリアの伊達男よ。」と、言うと、「母さん。それ、本当にやめてくれないかなぁ。イメージ悪くなっちゃうよ。」と、っておどけていた。
私はすまし顔で「大丈夫です。この程度の男の人には引っ掛かりませんから。」と毒を吐くと、周りにいた人がみんな笑った。
外は身震いするほど寒く北風が凍るように冷たかった。私達は足早に車に乗り込み教会を後にした。エアコンの温かい風は体と心の緊張をほぐしてゆく。シートに身を沈めて助手席から天沢君の運転する姿を見る。自転車の後ろに乗った時もそうだったけれど、この心地よさはきっと特別なんだろうなと思った。
追悼ミサという弔いに初めて参列したけれど、このような追悼の形もよいものだなと想っていると、翠さんがやってきてくれて「またお会いましょうね。」と、再会の約束をした。
今日は夕飯の準備をしなくてもいいから時間に余裕がある。手持ち無沙汰になった私は、登志子さんのお願いしてお茶会の後片付けを手伝わせてもらった。登志子さんの話し方はとても魅力的で、その会話力を会得したいと思うほどだ。時頼、二人して大きな声で笑ってしまうものだから、周りの人たちが「なになに?」と、聞いてくるほどに会話が弾んだ。
それでも、二人でテーブルを拭いている時、登志子さんはふと手を止め、ゆっくり背を伸ばすと、ひとり言のように「雫さんみたいな人がお嫁さんだったらよかったかな・・・。」と、呟いた。私は聞こえないふりをして黙々とテーブルを拭き続けた。
片付けが終わり窓の外を見ると、いつの間にか街灯の明かりが夜道を照らしていて、その明かりの中に雪が舞っているのが見えた。登志子さんと旦那さんは、皆に「今日はお疲れ様でした。皆さまのおかげでよい追悼式が行えました。外は雪が降っているみたいですので、お帰りの際は気を付けてください。」と挨拶をされた。私もおばさまや天沢君のご両親に再度お礼を言って、帰宅しようとすると天沢君に呼び止められた。
「雫。家まで送ってゆくよ。」
「えっ、いいの?」
「遠慮するなよ。」
「そう。じゃあ、お願いします。」と、あっさりと甘えた。この様子を見ていた登志子さんは「雫さん。念を押すようだけど、気をつけなさいよ。相手はイタリアの伊達男よ。」と、言うと、「母さん。それ、本当にやめてくれないかなぁ。イメージ悪くなっちゃうよ。」と、っておどけていた。
私はすまし顔で「大丈夫です。この程度の男の人には引っ掛かりませんから。」と毒を吐くと、周りにいた人がみんな笑った。
外は身震いするほど寒く北風が凍るように冷たかった。私達は足早に車に乗り込み教会を後にした。エアコンの温かい風は体と心の緊張をほぐしてゆく。シートに身を沈めて助手席から天沢君の運転する姿を見る。自転車の後ろに乗った時もそうだったけれど、この心地よさはきっと特別なんだろうなと思った。