午後7時をすぎたころ電話が鳴った。電話に出たお母さんは、うれしそうに返事をしていた。きっとお父さんからの電話だ。
「うん。わかった。もうすぐ着くのね。夕飯できてるから。まってるね。気をつけて帰ってきてね。」
電話を切ったお母さんは僕の方を見るなり、
「むつき、お父さんもうすぐ帰ってくるよ。今日はがんばろうね。」と、励ましてくれた。
僕は「うん!」と、うなずいたけれど、上手く話が出来るかとても心配だった。お父さんは優しくて好きだけれど、曲がった事がとても嫌いだから、頼みごとをする時はとても緊張する。
その理由は、僕が幼稚園に通っていた頃に、どうしてもほしいゲームがあって、何度頼んでも買ってもらえなかったから、そのゲーム機を持っている友達にどうしたら買ってもらえるのか聞いたら「おもちゃ売り場の前でゲームがほしいって大きな声で泣いて言えば買ってくれるよ」と、教えてくれたから、そのままやってみた。そうしたらお父さんは、
「周りの人に迷惑がかかっているのがわからないのか!」
と、怒って僕のほっぺたを叩いた。その時、お母さんは僕を抱きしめて、
「痛かった? ごめんね。でもね、むつき。お父さんの言った事は間違ってないの。父さんも、本当はむつきの事、叩きたくなかったんだよ。わかってね。」
と、慰めてくれた。それ以来、お父さんから怒られたことはないけれど、お母さんが優しくしてくれなかったら僕はきっとお父さんもお母さんも嫌いになっていたと思うほどの出来事だった。
しばらくすると、「ただいま」とお父さんの声がした。
お母さんは玄関まで迎えに行き、いつものように「お疲れ様」とお父さんに言っている。お父さんもいつものように「ありがとう」といっている。「お疲れ様」「ありがとう」それが二人の合言葉のようになっていて、かっこいい。
しばらくして、着替えを済ませたお父さんは食卓へやってきて、「いやぁ、今日も美味しそうだね。」と、言った。お母さんはとても嬉しそうだ。お父さんは手を合わせ「いただきます。」と、お母さんに言うと、僕もおかあさんも「いただきます。」と言ってご飯を食べた。
こうして僕の家の夕食が始まる。お父さんが、
「これ、美味しいね。」
と、言うとお母さんはうれしそうに料理の説明を始めた。それを聞いているお父さんは「うん、うん。手が込んでるね。」と、言いながらうなずいている。
そして、お父さんは「やっぱり、お母さんは凄いね。」と言い、僕もそれを真似して 「お母さんは凄いね。」と言うと、
「そうでしょう。」
と、いってお母さんは得意げに笑った。その時、僕はお母さんが風邪で寝込んだ時のことを思い出した。
お母さんの代わりにご飯を作るお父さんが僕に向かって、
「料理って意外と大変なんだよ。好きなものばかり食べていたら、体が弱くなってしまうんだ。だからお母さんは僕たちの体のことも考えて嫌いな物でも食べられるようにいつもいろんな料理を作ってくれているんだよ。それを忘れてはいけないよ。」
そう言って、料理の大変さを教えてくれた事がある。だからお父さんはいつもご飯を作ってくれるお母さんに「ありがとう」と言っているんだなと思った。
「うん。わかった。もうすぐ着くのね。夕飯できてるから。まってるね。気をつけて帰ってきてね。」
電話を切ったお母さんは僕の方を見るなり、
「むつき、お父さんもうすぐ帰ってくるよ。今日はがんばろうね。」と、励ましてくれた。
僕は「うん!」と、うなずいたけれど、上手く話が出来るかとても心配だった。お父さんは優しくて好きだけれど、曲がった事がとても嫌いだから、頼みごとをする時はとても緊張する。
その理由は、僕が幼稚園に通っていた頃に、どうしてもほしいゲームがあって、何度頼んでも買ってもらえなかったから、そのゲーム機を持っている友達にどうしたら買ってもらえるのか聞いたら「おもちゃ売り場の前でゲームがほしいって大きな声で泣いて言えば買ってくれるよ」と、教えてくれたから、そのままやってみた。そうしたらお父さんは、
「周りの人に迷惑がかかっているのがわからないのか!」
と、怒って僕のほっぺたを叩いた。その時、お母さんは僕を抱きしめて、
「痛かった? ごめんね。でもね、むつき。お父さんの言った事は間違ってないの。父さんも、本当はむつきの事、叩きたくなかったんだよ。わかってね。」
と、慰めてくれた。それ以来、お父さんから怒られたことはないけれど、お母さんが優しくしてくれなかったら僕はきっとお父さんもお母さんも嫌いになっていたと思うほどの出来事だった。
しばらくすると、「ただいま」とお父さんの声がした。
お母さんは玄関まで迎えに行き、いつものように「お疲れ様」とお父さんに言っている。お父さんもいつものように「ありがとう」といっている。「お疲れ様」「ありがとう」それが二人の合言葉のようになっていて、かっこいい。
しばらくして、着替えを済ませたお父さんは食卓へやってきて、「いやぁ、今日も美味しそうだね。」と、言った。お母さんはとても嬉しそうだ。お父さんは手を合わせ「いただきます。」と、お母さんに言うと、僕もおかあさんも「いただきます。」と言ってご飯を食べた。
こうして僕の家の夕食が始まる。お父さんが、
「これ、美味しいね。」
と、言うとお母さんはうれしそうに料理の説明を始めた。それを聞いているお父さんは「うん、うん。手が込んでるね。」と、言いながらうなずいている。
そして、お父さんは「やっぱり、お母さんは凄いね。」と言い、僕もそれを真似して 「お母さんは凄いね。」と言うと、
「そうでしょう。」
と、いってお母さんは得意げに笑った。その時、僕はお母さんが風邪で寝込んだ時のことを思い出した。
お母さんの代わりにご飯を作るお父さんが僕に向かって、
「料理って意外と大変なんだよ。好きなものばかり食べていたら、体が弱くなってしまうんだ。だからお母さんは僕たちの体のことも考えて嫌いな物でも食べられるようにいつもいろんな料理を作ってくれているんだよ。それを忘れてはいけないよ。」
そう言って、料理の大変さを教えてくれた事がある。だからお父さんはいつもご飯を作ってくれるお母さんに「ありがとう」と言っているんだなと思った。