硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

映画 「風立ちぬ」

2013-09-15 07:50:10 | 日記
上映前にいくつかのテレビ局の特集を観て、監督本人が感動したというのを知って、どんな作品になったのかとドキドキしていました。また、滝本美織さんがゲストで出演された番組では、短くまとめられた映画紹介の後、滝本さんが目頭にいっぱい涙をためていたのを観て、それほど感動するのかと期待感が大きく膨らんだのですね。

作品は期待を裏切ることなく素晴らしいものであったけれど、困った事に観終わった後、前頭葉のあたりがずっとしびれているんです。今迄の映画なら、その後、ご飯を食べたり本屋で立ち読みしたりしたら、すぐに日常に戻ってゆくのですが、なかなかしびれが取れない。訳がわからず、「これはなんだろう」と自問自答していて思いついたのは、鑑賞する立ち位置。

今振り返ってみると「トトロ」の頃は、なんとなく「テレビ」を何かをしながら、ちらちらと見ている感じなんですね。それで作品を重ねるうちに「テレビの前」、劇場前のモニター、観客席の後ろの方、観客席の中ほどの席、そしてようやく舞台の最前列で役者の息遣いや躍動感を感じながら物語を観る事が出来るようになった感じなのではと思ったのです。
それでも、舞台上までには、ずいぶんと距離があることも分かりました。

そして、一番印象に残ったのは、物語そのものではなく、僕の目の前を通って行った20代前半のカップルの女の子が「なんだかよくわからなかったね。」と彼氏に言っていた事なのですね。(笑)
彼女も、もしかしたら「分かる時」がやってくるかもしれないし、分からないまま過ぎてゆくかもしれない。でも、「そういう作品」なのだと、深く理解したのです。

宮崎駿さんが描いた堀越二郎の物語。物語の形として「夢の中」が鍵となっているので、エンディングも抽象的な形をとっており、その後どう転じていったのかは鑑賞者にゆだねられている形をとっているように思います。
そうなると、その後どうなったのかやっぱり気になるところですね。(笑)