この夏めまいで半月ほど入院した。
頭を五センチメートル上げただけで激しいめまいと吐き気がする。
草木も眠る丑三つ時に、救急車で緊急入院。 夫曰わく「病気の問屋」の私も、いよいよ最後の時が近づいて来たかと観念していた。
入院して幾日目のことだろうか?
まだめまいが続いて、一人ではトイレはもちろん、起き上がることさえ出来ずに、一人個室のベットに横たわっていた。
何時頃だったろうか?消灯後の真っ暗闇の中、
突然、老婆に、声をかけられ、目覚めた。
白髪の痩せた老婆がベットの脇に立っている!
この部屋で亡くなった老婆の霊か?
いよいよお迎えが来たのか?
夢か?
幻覚か?
夢中で、ナースコールを押す。
「変なおばあさんが、部屋にいます。」
「トイレを貸して貰いたい」
きちんとしているようだ。
足元を見る。
ちゃんと付いている。
ナースセンターから看護士さんが来た。
安堵感でいっぱいになる
夜中にトイレに行こうとして迷子になったらしい。
緊急入院したので、自分が何階の何号室に居るのか、はてまた病院内の構造や部屋割りなど全く解らない。
女子トイレの近くの部屋にいたようだ。
「すみませんね。よくあるんですよ。」と夜勤のナースに説明されて、一件落着
死に神もまだ私は早いと判断したと言う落語のようなお話し
お後の用意がよろしいようで