珊瑚樹の若葉
珊瑚樹
珊瑚樹は、『火伏せの木』と呼ばれて、私の故郷静岡県沼津市では、防火林として生け垣に多く植えられている樹です。
大きく育てた樹に、真っ赤で小さな実が沢山なるので珊瑚樹と言う名前になったようです。
しかしながら、山の家では、隣家との境界の生け垣として徹底的に刈り込んでしまいますので、残念ながら実がなったことがありません。
工場や学校、公園等公共施設の大きく育った樹になっている実は見たことがあります。
珊瑚樹は厚く水分の多い葉が、丈夫で成長すると葉がビッシリ付くので、防火林や防風林として貴重な樹木です。
江戸時代後期に建てられた私の生家にも、 竃屋の脇に立派な珊瑚樹の生け垣が在りました。
※ 竃屋(かまや)=今の台所と風呂場、洗面所を母屋と別棟にして煮炊きをしたり洗い物をしたり、水を使ったりする建物。
土間は母屋の板の間に繋がっていて草履や下駄で行き来する。
食事の用意も、食べ終わった後片付けも全部竃屋でするので、女しはとても大変ですが、
大切な 母屋を火から守る為に、わざわざ別棟にしてありました。
今から丁度50年前の正月七日夜、竃屋の竃の煙突から風が吹き込んで、竃屋が家事になってしまいました。
真冬の風の強い夜でしたので、竃屋はあっと言う間に全焼。
幸い母屋と竃屋との境に江戸時代の丈夫な土壁が塗ってありましたので、母屋への延焼は食い止めることが出来ました。
あれほどの火事だったのに隣家の納屋も無事でした!
次の朝明るくなって、裏に出てビックリ!
珊瑚樹の生け垣が真っ黒焦げになって炭のような幹が立っていました!
古くからの言い伝えや、お年寄りの言うことは、迷信やおまじないではないと確信した出来事です。
この経験から、 最初の家の生け垣も迷わず珊瑚樹にしました。
手入れも行き届いて、綺麗な生け垣になっていましたので、一本だけ山の家の隣家との境界に移植しました。
普段はほとんど主張しない常緑の生け垣。
火除け風除けの守り神の珊瑚樹。
珊瑚は、三五だから四が無い。
∴死が無い!?
三月生まれの私の守護樹かもしれません?