
岩国検定実行委員会の立ち上げから8年余が過ぎた。合併で広域化した岩国「長く住んでいても『ほおっ』と驚くことがたくさんある。郷土を見直す機会になれば」と隔年で3回の検定試験を実施した。多くの関心ある方々から継続の声をいただいたが、当初の意気込みが達成され今は休会している。その後も様々なところで声掛けなどもあり、手元にある会で作成した検定テキストはかなりくたびれて来た。
検定準備では、出生地なのに「ほおっ」と驚くことが多く恥じた回数は数えきれなかった。そんな一つに周東町に1200年前に建てられた鮎原剣神社があることを知った(テキスト38頁)。武道の神様として親しまれているこの神社の参道入り口に石造りの太鼓橋が架かっている。空に向かって弓を張っているようなアーチ状で「穹崇(きゅうそう)橋」と呼ばれる。
小さな小川に架かる巾1間半ほどの石橋が、最近、市有形文化財(建造物)に指定された。硬い花崗岩を精密に加工してアーチ状にしておりその高い技術力が用いられたとし、関係する資料とともに指定という。この鮎原剣神社社叢(しゃそう)も天然記念物として1978年に市指定文化財とされている。社叢は神社を囲む自然林で鎮守の森とも呼ばれる。
新たな文化財指定は7年ぶりと報道された。もしや、ご当地検定で取り上げたことがきっかけになったのではないだろうか、そんな推量をしながらテキストを閉じ、こうして書けるのも検定に携わったからと喜ぶ。まだ現地を見ていない、橋と森を眺めにぜひハンドルを切ってみよう。