子どものころは祖父母に連れられて、社会に出てから父の没後は墓参りを欠かさない。今も1年には10数回は掃除を兼ねて参る。そこを取得したのは私が生まれる前のことでいきさつは知らない。無縁墓も多くなったが100基くらいはあったと思う。道路改修で市水も設けられ墓地としてはいい。
しかし、いいことばかりではない。雑木が茂り、最近は竹林が拡がり木の葉に竹のささが降り注ぐ。それはわが家だけでなくどの墓も同じで、こまめに参られる。こんな環境だから蚊を始め色んな昆虫や虫などの出現は珍しくない。孫が小さいころには蚊取りスプレー缶持参だった。今年も蚊はすでに登場しているが、誰からも恐れられる虫第1号を撮った。
U字型の側溝に積もった竹のささを手で掴みのぞいたところ、その中に潜んでいた10㌢はありそうなムカデが姿を現した。驚いたのだろうU字管内の内壁に沿って上り下りを繰り返すが逃げ出せない。すると管の底を右往左往する。棕櫚箒を差し出すとすぐに移って来た。家の庭ならそのままには出来ないがここは墓地、見逃すことにした。
5月というのに各地で夏日や真夏日が観測され、冷たい物が何倍も売れているという。時期的には早い出現のように思うが、最近言われる地球温暖化の影響ではなかろうか。SFの見すぎか、もしもムカデが異常発育し巨大化したら、それに立ち向かうにはかなりの勇気が、そんなことを思っている間に草むらに消えた。どの墓石もほっとしたのでは、そう思いながら持参の冷たい茶を飲む。