そんなハミング、写真を撮りながら聞いた。公園でハミングしながら秋を楽し人を見たのは初めて、同年配に思えるが何処から来られたのだろうといらぬ詮索をしていた。会話から市内某校の名前がでた。詮索はこうまとめた。市内出身で今は遠くに住む、同窓会で帰省し誘いあって思い出の公園を歩くうち旅愁をハミングしていた。
私は生まれたこの地で高校卒業まで学んだ。社会に出る頃は産官学一体となり戦後復興の仕上時期で、石油が石炭にとって代わる端境期だった。多くの同期は各地へその担い手として故郷を後にした。幸か不幸か私は、生まれた地を離れずに今日まで過ぎた。だから旅愁という言葉の真の意味を知らない。
旅愁の出だし「ふけゆく」を聞き、先日ばったり会った同期が「ふけても気持ちだけはふけまいで」と話したことを思い出した。ふけゆくは「老けゆく」とも書き意味は年をとっていくこと。歌詞のそれは「秋の夜が深くなっていく」情景だが、人生も似たところがある。たまには「ふける」について考えておくのもいいか、足下のモミジの葉を見ながら思った。