TENZANBOKKA78

アウトドアライフを中心に近況や、時には「天山歩荷」の頃の懐かしい思い出を、写真とともに気ままに綴っています。

「肥前随一の秀峰天山」 

2013年03月31日 | 山にまつわる話
 「陣屋の広庭には、みずみずしい樹々の若葉がきらきらした晩春の陽ざしを浴びて、美しい緑をこぼしていた。空は銀色に晴れて、北の一角には、肥前随一の秀峰天山が、うす紫につつまれた優美な姿を横たえている。『よい日和じゃ…』」
 -滝口康彦氏の「高柳父子」の一節である-




先日訪れた多久の西渓公園にある文学記念碑。
その後方には、氏が愛した「秀峰天山が優美な姿を横たえている」のだが、写真ではうっすらと写っている。



公園にある建物の中には、氏が愛用した万年筆や手書きの原稿、色紙等が展示してあった。

次の文章は、「高柳父子」の別の一節である。
 「二十日にわたる長い旅の、最後の一歩を、城下間近い畷道に踏み入れたその日は、朝からひどい木枯らしで、雪さえまじえた天山おろしが、あたかも織部の帰国を拒否するかのように、真っ向から襲いかかった。」

天山の情景描写が物語の展開を予感させる。氏の作品にはよく天山が描かれている。


多久から見た、「肥前随一の秀峰天山」
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天山

2013年03月31日 | 山(県外)

(多久方面から見た天山)

本ブログ名である「天山歩荷」を「天山荷歩」とまちがって表記していました。
先日の壮行会で指摘を受けました。そこをまちがったかとワンゲルOBとして恥ずかしい限りです。

さて、昨日佐賀に行ってきました。多久の西渓公園にある滝口康彦氏の文学記念碑等を見ることと、天山に登るのが主な目的でした。あと、地元の古本屋さんを回って、絶版になっている滝口氏の作品を見つけようと思っていましたが、道々に見える天山の美しさに心を奪われ、写真撮影に熱中し時間不足でそれはできませんでした。

今回は、昨日撮った天山の写真を紹介します。

まずは、多久方面から見た天山です。
滝口氏の作品にも天山の描写がでてきますが、この美しい山を愛でながら執筆されたのでしょう。







次に、小城方面から見たおなじみの天山です。
天山歩荷のときは、天山のきれいな山容を鑑賞する余裕などありませんでしたね。






最後に、おまけの1枚。
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「南に遠く」

2013年03月27日 | 南に遠く(不知火尞)


高校の頃、北杜夫氏の「ドクトルマンボウ青春記」に傾倒していた。
旧制高校生のバンカラで、現実離れした寮生活に憧れていた。
しかし、自分は寮には入らなかった。
ワンゲルの同期のTは不知火寮だったので、寮のいろいろな話を聞かせてもらっていた。
中でも、寮歌の特訓は印象的だった。
1つ上の先輩が、1週間かけて、マンツーマンで教え込んだという。
巻頭言のあげ方から、節まわしまで。
そのTが私の部屋に遊びに来たとき、寮歌を教えてくれた。
それが「南に遠く」だった。
あるとき、私がTの不知火寮の部屋に遊びに行っていたとき、突如としてウォーターストームが始まった。
Tはあわてて、私を押し入れの中に隠してくれた。
音だけだったが、勇ましいストームの様子が押し入れのふすま越しに伝わってきた。
ストームは裸、ふんどしが許されるのは2年生以上で、1年生は真っ裸でやるという。
巻頭言をあげ、意気揚々と廊下を踊りまくるストームの首謀者に、他の者はバケツにくんだ水を浴びせかける。
あの時私は、嵐がおさまるのを、じっと押し入れの中で待っていた。



4年生の冬だった。
生協の食堂横の広場に、枕木が組んであった。一見してファイヤー用と分かった。
不知火寮最後の日である。
羽織袴姿や学生服という出で立ちで歴代の寮OBが集まり、終止符を打つべく閉寮の式が始まろうとしていた。

しーんと静まりかえった中、寮の玄関にはしごが掛けられ、玄関上の看板(?)が外された。
みんなの視線がその一点に集まり、諸処に嗚咽が漏れていた。
そして始まった巻頭言。
「仰げば星斗爛煥として 永久の真理を囁く…」
夜空を切り裂く魂の叫びにも似て、遠くで見ていた私の心にも突き刺さる。
ましてや、青春を寮で過ごしてた彼らには…

  仰げば星斗爛煥として 永久の真理を囁く
  頭を巡らせば不知火 炎炎として 若人の熱を語る
  自然の恵み豊かなる この筑紫野の一角 天地の精気凝りて立てるもの
  実に吾が佐大不知火寮なり
  いざや歌わんかな 我らが朴訥の歌 南に遠く
  いざや踊り狂わんかな 我らが熱血の舞 南に遠く

そして始まった「南に遠く」の大合唱。
寮生でもなく、ことの成り行きを遠くで見ていた私も胸が熱くなり涙が流れた。
いわんや…

  南に遠く振古より
  ゆゑ知らぬ火の熾りたち
  あけくれ若き血に煮ゆる
  男の子の鴻図うながせば
  健児つどへるこの野辺を
  人あがめたり「火の国」と

  ああ青春よ我にまた
  胸に燃え立つ火のありて
  ゆくてはるけき人の世の
  旅のしるべを求めてぞ
  伝へも奇しき不知火を
  名に負ふ寮にこもりたり

  山抜かんとて持つ力
  世を覆はんとて抱く意気
  生火となりて血は湧けど
  「三年不飛又不鳴」
  雲雨を待ちて筑紫野の
  月を仰ぎて觴咏す

  
この「南に遠く」をTの壮行会で一緒に歌った。
その後、このブログのコメントで、Uのお父さんが、かって不知火寮の寮長であったこと、
また、Uも、この不知火寮最後のファイヤーストームを見ていたということが分かった。
Uは今回の壮行会の横の連絡を取ってくれた一人だ。
人の縁の不思議さに驚いた。

山の歌もいいが、「南に遠く」をまた一緒に歌いたいな…






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壮行会

2013年03月24日 | SUWV
前回の続きになる。
その日本を離れるT君の壮行会が昨晩行われた。





Tは、同期をはじめ、先輩の方々、そして後輩のみんなから激励を受けた。
卒業以来30数年ぶりという懐かしい顔もあり、
ワンゲル時代の話等で会は盛り上がった。
アテンションプリーズ!ライダースインザスカイ♪…

家に帰ったT君は、奥様や子どもから言われたそうだ。
「こんなにしてもらえてお父さんは幸せだねー」と。

幹事長のSも言っていたが、Tの人徳ゆえのことであろう。
また、SUWVの絆をあらためて感じることができた一夜だった。
博多行きの特急かもめが、タイムマシーンに思えた。

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開聞岳 あれから1年…

2013年03月20日 | SUWV


1年前の3月17日。Tと開聞岳に登った。
天気はよくなかった。雨の合間をぬう形でその日の午後から登った。
写真は、途中に見えた長崎鼻方面である。
頂上はガスっていた。
夜は酒を飲みながら、いろいろなことを語り合った。

Tと一緒に登る最後の山であった。

Tはこの4月より日本を離れる。
かねてからの夢を実現するために。
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