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留魂録 吉田松陰の回天期の時代に広めた死生観

2018年04月09日 02時37分05秒 | 読書評

 

[新訳]留魂録
クリエーター情報なし
PHP研究所

幕末から明治維新へ時代の転換期に精一杯の理念を己に刻み

それを広めた革命家。日本人の誰もがその名前は、聞いたことが

ある維新の功労者。高杉晋作、久坂玄瑞などの維新を推進した

人物を育てたことを先に考えてしまい、実際にどんな事をしたのか

あまりよく知らなかったので、本書を手にとってまた。

 

筆者の現代訳と時代背景、余談などが含まれ読みやすい本である。

尊王攘夷の理念を激しく過激に世に広め明治維新の原動力の思想を

広めた偉人であるが、その生涯はほとんどが投獄されているようで

獄中で執筆した文書、手紙が彼の思惑を表現している。その中の一つが

留魂録である。はじめて読むが、その大半は、後に期待をする人物宛てに

書いている手紙のようだ。その中で一番心に残っているのが、

第8条 後来の種子 である。松陰は30歳で生涯を閉じたわけであるが

その生涯に一点の曇りもないいさぎ良さをあらわにしている。

人というものは、10歳で死にゆく人には、その10歳のなかに春 夏 秋 冬

の四季があり、30歳で死にゆく人には、その30歳のなかに春 夏 秋 冬

の四季がある。人は、その生涯を長い、短いというけれど、その四季には

それぞれ実りがあり、その実りが中身が詰まったりっぱなものだったのか

どうかは、後世のひとが判断することで、自分にはわからないというくだり

である。この一節は、個人的には大きなインパクトである。

激しい激動の時代に自分の理念を根底に持ち、回天を成し遂げるエネルギーは

驚嘆に値し、そのエネルギーの発散の仕方は、自分にも転化したいものである。

 

はたから見ると松陰の生涯は、短く無念の思いがあったであろうと思うのであるが

この留魂録を読むと松陰の思いは後の人物たちに継承され明治維新をしっかりと

やり終え、その理念のとおり拡散してきたのである。


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