メリーゴーランド (新潮文庫) | |
荻原 浩 | |
新潮社 |
とある田舎町のテーマパークを復活させる奮闘劇。
地味なキャストとストーリーも派手さ無く地味だけど面白い
小説でした。前に読んだ作者の著書、明日の記憶がひしひしと
伝わる悲壮感に押されるような重さに比べ、軽い気持ちで
楽しめる小説でした。
地方自治体の天下り先になっているテーマパークを改革して
入場者で賑わうものへ変えるための主人公の奮闘劇が、過度に
ならない程度のつらさがあふれていて、それを中和する劇団員
の元仲間や暴走族上がりの土建屋の暴挙が起死回生となって
状況が好転する。
地方自治体の管理職が何もしない役人として描かれており
それに呆れ返りながらも、主人公はテーマパークの五月
のイベントを進めて行く。
地域社会の既得権益にずっぽりと浸る人たちの描写。
地域官僚の天下り体質が渦巻く地方自治体の描写と
それをなんとか改めるための主人公の活躍ぶりが対象的
で面白い。
劇団員などのキャウストの明るさが、ささやかな盛り上げと
なってほのぼのとした物語になっている。