写真は北九州市のスペースラボ。
「11人いる!」
萩尾望都の初期のSF作品。
最難関である宇宙大学の最終試験は、10人グループでひとつの宇宙船内で53日間過ごし、生き延びること。期限までに外部と連絡を取ったら、全員失格で試験終了となる。
ところが主人公の乘った宇宙船には11人いた。異端のニセ受験生は誰か。皆が疑心暗鬼になるが、試験は続いていて、誰もが合格したい事情を持っているから外に助けを求められない。さあどうなる?
友情努力勝利の物語であるし、多文化理解の話でもあり、ジェンダー問題もテーマである。
舞台化されているし、アニメ映画にもなった。名作である。
この物語の大事なエピソードとして感染症の発生がある。
主人公が幼いときに乗っていた宇宙船で感染症が発生した。致死率93%。だが乗員の数に比べてマウスが足りず、それを使ってのワクチンが間に合わない。子どもを優先してワクチンが与えられたため、主人公はそこで親に死なれたが、その記憶を封じられて、ある星で育った。
その古い宇宙船こそが、試験として11人が乗り込んだ船だった。そこで再び感染症が発生してしまうのだが。
(ワクチンをつくるための)
「マウスがいない! 11人いるのに!」
ワクチンが広まれば元通りの生活ができる。
ワクチンが普及すればこの騒ぎは終わる。
2020年暮れからよく聞いたこの言葉で「11人いる!」を思い出したのは私だけだろうか。
どれくらいの感染リスクが、特例承認リスクと釣り合うのか。コロナというと風邪の一種で、ウイルスは変異するから、その一つだけ封じ込める「ゼロコロナ」は絶対無理。それくらいは素人さんの私にだってわかる。
致死率93%というのは人に考える余裕を与えないが、どうも厚生労働省と県の出す数値を見ていると、新型コロナは、それには遠く思える。滅多に風邪をひかない一晩寝れば大概の病気は治る21世紀になってから高熱を出した記憶がないそういえば会社の健康診断の血圧測定で3年連続まったく同じ数値を出していた、ホメオスタシスが服を着て歩いているような私に、発熱頭痛倦怠感確率が数十パーセントに上る特例承認ワクチンはリスクでしかないのではないだろうか。ま、洞ヶ峠の筒井順慶というのも立派な戦略だわ。数値データを見て考えろという本『ファクトフルネス』を大学卒業生に配ったのはビル・ゲイツだし。
だがしかし、運命は私にノー天気な日常の継続を許したりはしなかったのである。(つづく)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます