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中距離弾道ミサイルはロフテッド軌道

2022-01-30 23:18:23 | 科学
隣国が今年に入って何度もミサイル発射(実験)を行っている。
(今日で今年7回目らしい)

同じミサイルを何回も発射しているわけではなく、到達距離も様々だが、固定基地から発射するだけでなく、
トラック搭載型、列車搭載型、はたまた弾道ミサイルだったり巡航ミサイルだったり極超音速だったりと多様。
イージス艦やPAC3などのミサイル防衛システムでは対抗できないタイプもある。
(だからと言ってイージス艦やPAC3が無駄と言うわけではない)

今回のミサイルは文字通りの弾道ミサイルで、ロケットによる加速が終わればいわゆる弾道軌道を描いて
目標に落下する仕組みのもののようだ。

物理の授業で習ったと思うが、物体を初速だけ(途中の加速なし)で打ち出した場合、最も遠くに届く角度は45度。
(但し、これは真空中の話で、実際には空気抵抗もあって放物線軌道は描かない。最も飛ぶのは35度ぐらいのはず)
角度をもっと大きくすれば到達高度は増すが、到達距離は落ちる。
しかし、到達高度が高くなれば、これまた物理で習ったように高いところから落ちる物体の速度は増す。
(これも空気抵抗があるので物理の教科書通りには加速しないけど)

思いっきり高く打ち上げると(ロフテッド軌道)それだけ距離は伸びないものの落下速度は増し、
地上から見た場合、真上から落ちてくる形となり、視認してから着弾迄あっという間になってしまう。

今回のミサイルは高度2000kmに達したらしい。
過去には高度4000kmに到達するミサイルの実験も行ったことがあるようだ。

撃墜ミサイルは海上発射型のSM3がマッハ10~15程度、地上配備型のPAC3はマッハ5程度らしいので、
このロフテッド軌道ミサイルの速度は知らないが、マッハ10前後だとすれば、迎撃はかなりきついのでは。

ミサイルは機銃などと違って高速連射に限界があり、いわゆる機銃掃射のように「数撃ちゃ当たる」わけにはいかない。
一発必中を狙うのには相手の軌道を計算し、相手を撃破できる時間と位置を計算して発射するので、
(弾道だったら軌道の予測ができ、この時間にここらを通ると計算できる)
計算が正確に行えて、相手ミサイルの近傍まで行ければ、最後はこちらのミサイルが自動で撃墜できるが、
速いミサイルを迎撃するのは難しい。

先日の極超音速ミサイルはマッハ10と言われる。(マッハ5以上が極超音速と呼ばれる)
これが弾道ミサイルではなく変則軌道だったり、誘導ミサイルだったら現在の防衛システムでの迎撃は難しいのでは。

ちなみに戦闘機の最高速度はマッハ3がひとつの壁で、到達高度は20km未満。
(もっと速く高く飛べる航空機もあるらしいが、戦闘機としてはマッハ3、20kmが限界らしい)

ミサイルが発射から到達までにある程度時間がかかるのは自明で、今いる所に向けて撃っても無意味。
ましてやいつどこに来るかをこちらの到達時間も計算しながら、先読みして撃つことになる。
百発百中なんてゴルゴ13にしかできない。

時間のかからない攻撃(あるいは迎撃)方法として考えられるのが、レーザーガンと電磁パルス攻撃。
但し、電磁パルス攻撃は電磁パルスを発生させる武器を相手近くに持って行って発生させないとこちらも自滅。
本気でやるなら強大なレーザーガンになるんだろう。
レーザーなので到達は光の速度だが、一撃必殺とはいかず、相手を破壊するには連続照射が必要らしい。

これだけ迎撃がむずかしい武器を持っていても、簡単に攻撃してこないのは反撃があるから。
実際にやり合うことは絶対に避けなければいけないが、やったらやり返されと思うから
威力は誇示しても使用しないので「武器を持たなければ攻撃されない」なんて思えない。

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