鳥取市南吉方、旧三洋電機南吉方工場の敷地に「鳥取高等農業学校:旧校舎」が残されていると聞き、早朝よりやってきました(〃∇〃)
大正時代中期 (1920年頃) の官立高等教育機関大増設の中で、大正9年(1920) に設立された高等農林学校 (高農)。大正11年(1921)に建設された赤煉瓦と青緑の壁を持つ洋館、アーチ型の玄関。初めてこの建物を見た人はどんな感慨を抱いたのだろう。
創立時は、本科に農学科・農芸化学科の 2科を設置 (後に獣医学科を増設)。昭和17年(1942)に林学科を増設し、鳥取高等農林学校と改称、さらに第二次世界大戦中に鳥取農林専門学校 (略称: 鳥取農専) と改称。
沿革の中に建設費用に関する項目があり、それによれば設置費 66万円のうち一般募集で集まった金額は40万円強。 県費負担は 22万円、不足分の4万円弱は県立農学校基本財産からの流用。いつも、いつも同じ感想を抱いてしまうのですが、かってこの国の人たちが教育に賭けた思い、願い、情熱・・何と熱い事だったのかと。
遠目からでもはっきりと目立つ独特の色合いの校舎は、個人的にとても好きな『辰野金吾』の設計。外観はルネッサンス風の優雅さを持ち、屋根中央部には小さな望楼がアクセントを添えています。
時代の流れを受けて旧校舎は三洋電機南吉方工場の敷地の一角に木造2階建の玄関部分を残すのみとなり、それも同社の工場閉鎖・敷地売却に伴い2013年3月末までに解体されることになりました。それを押しとどめたのは、この学び舎を巣だっていった鳥取大学農学部の同窓会メンバーたちでした。様々な働きかけを受け、三洋電機側は旧校舎建物を残したまま敷地を売却。
その後どのような経緯が流れ、現状がどうなったのか・・2016年の日本海新聞によれば「白亜の洋館」に生まれ変わったという一文をちらっと眼にしましたが・・・
訪問日:2012年4月16日