輪島市門前町黒島に現存する、黒島の代表的な廻船問屋住宅「県指定重要文化財:旧角海(かどみ)家」。明治4年(1871)に大火に遭いましたが、地元の名匠『工野藤兵衛』により、配置や構造も含めて元通りに再建されたと伝えられています。
平成19年(1989)の能登半島地震によって大きな被害を受けた後、土地建物ともに輪島市へと寄贈。平成23年(1993)7月に復元工事を終え、8月13日より角海家の収蔵品等と共に一般公開されました。「下見板張り」の壁に残された、旧建材と真新しい建材が不思議なコントラストを見せています。
「旧角海家」がある黒島地区は、日本海航路による海運業の発展の中で北前船の船主および船頭や水主の居住地として栄え、江戸後期から明治中期にかけて全盛を極めた集落です。2009年には「船主集落」として国の重要伝統的建造物群保存地区に選定。今日の町歩きは懐かしい潮の香りが道連れです(*´꒳`*ノノ゙
「黒い屋根瓦」に「下見板張りの壁」。整然と並ぶ「格子窓」。伝統的な家屋が特徴的な黒島の町並。北前船で栄えた天領の町と、内海の小さな漁師町では比べようが有りませんが・・それでも郷土愛贔屓を発揮して言うなら、これに似た風景が町の幾つかに残されていました(^^;)
「旧角海家」同様、地区一帯も地震の被害を受けましたが、今は美しい町並みを見せています。 黒瓦の屋根の上にいた恵比須さん、町並みを見下ろす満面の笑みが私たちを振り向かせます。
街道を進むと道は徐々に勾配が強くなり、重なり合う黒瓦の向こうに日本海が広がります。 航海に出た家族の安否を祈った人たち、もしかしたらこの高台から海を眺めて帰りを待ったのでしょうか。
もと来た道を引き返し「旧角海家」の近くまで帰ってきました。真新しい鳥居は、黒島近郷の産土神「若宮八幡宮」で、船運海産の守護神として鎮座されています。本来ならば参拝をするべきところなのですが、町歩きは思った以上に足に負担をかけていたようで、鳥居前での拝礼で終わらせていただきました。
「北前舟資料館」に展示されている「大阪城と名古屋城をかたどった曳山」。とても楽しみにしていたのですが・・8月13日で閉館したとの貼り紙・・・・充分に調べてきた筈だったのに、まさかの確認ミス。
駐車場から見上げる集落への石段、これとよく似た風景が記憶の中で再現され、潮の匂いと共にわずかに残った郷愁を誘います。
訪問日:2010年11月15日