神栖市息栖に鎮座される「息栖(いきす)神社」。御祭神は『久那戸神(くなどのかみ)(岐神)』。相殿神に『天鳥船命(あめのとりふねのみこと)・住吉三神 (上筒男神、中筒男神、底筒男神)』。鹿島神宮、香取神宮と共に東国三社の一社で、三社はいずれも関東地方東部の利根川下流域、古代の「香取海」の入り口に鎮座されています。
常陸利根川沿いの渡船場跡から見る一の鳥居、両側には「忍潮井(おしおい)」が見えます。社伝に【『神功皇后』3年に造られたとし、井戸には、日川からの移転に際して後から自力でついてきた「男瓶」「女瓶」という名の2つの土器から水が湧き出ている。現在の井戸は昭和48年に、河川改修のため移転している。】
海水をおしのけて清水が湧出するという神秘の「忍潮井」。「日本三霊泉」の1つとされ、鳥居の内より右側には、白御影石で銚子の形をした「男瓶(おがめ)」があるといいます。
鳥居の内より左側には「男瓶」よりもやや小ぶりな「女瓶(めがめ)」があり、土器の形をしているといいます。
二つの瓶は水の澄んだ日にしか姿を現さず、その姿が見られると幸運が舞い込むのだとか・・また「女瓶」の水を男性が、「男瓶」の水を女性が飲むと二人は結ばれると言い伝えられています。さすがにここからお水を頂いて飲むというのは、根性よりも覚悟がいりそう😓 画像は2014年のものですが、水底にうっすらと「瓶」の形を見ることができました。
まだ新しい石祠は「忍潮井」がある一角に建立。特に祭神の記載はありませんが場所的に見て水神と想像します。
御祭神である『久那戸神』は、国譲りの際に『大国主』の命により、鹿島・香取の大神を先導され、禊・魔除け・厄除け・道中安全の神とされます。また『天鳥船命』は、『鹿島大神』の副神として出雲に降下した神で、船そのものとも云われます。 ブログでは最後の紹介になりましたが、実は東国三社巡拝のスタートは「息栖神社」から始まりました。社務所でそのことを告げると、「ここは先導神を祀っているので最初に参拝されるのが正式なんです。よくご存知でしたね」と言われ、とても嬉しかったものです。
神門は弘化4年(1847)の造営、昭和35年(1960)の火災で社殿が消失した際、唯一、焼失を免れた建造物です。
境内にある社殿は本殿も含めて 昭和38年(1963)5月の建立。
社伝には「第15代『応神天皇』の代に日川(にっかわ)の地に創建されたという。その後大同2年(807)、『藤原内麻呂』によって現在地に移転したと伝える。」 拝殿に続く入母屋造の御本殿は、白壁鉄筋のコンクリート造り・・・古よりの歴史を有する神社だけに、寂しさはぬぐえません。
境内に並べ置かれていた「礎石」は、昭和三十五年に焼失した本殿のものです。
明日は、境内に残る「万葉歌碑」や境内社など、まとめて紹介します。
参拝日:2014年5月17日&2019年3月13日