第5回 いきいきさわやかに学ぶ会
日時 2021年3月4日
テーマ『精神障害について知ろう』〜心の病を正しく理解するために〜
講師 精神保健福祉士 石原真知子さん(社会福祉法人「息吹」)
心の病は私たちにとってとても身近な病です。生涯を通じて5人に1人が何らかの精神疾患にかかると言われており、誰もがなる可能性があります。ひとくちに精神疾患といっても、原因や症状はさまざまです。
●内因性のもの
統合失調症、うつ病、認知症など
●外因性のもの
高次脳機能障害、アルコール依存、薬物依存など
●心因性のもの
パニック障害、PTSD、パーソナリティ障害など
●脳の使い方が特別なもの
学習障害、注意欠陥多動性障害、自閉症など
最近はインターネット(ゲーム)依存も問題になっています。発症には「現実逃避」が強く関連しており、睡眠障害、学力低下、暴力、家庭崩壊という深刻な状態に。子どもの不調をキャッチする環境づくりには、大人のメンタルヘルスを良好にしておくことも大切です。
国民の7.6%が何らかの精神疾患を有し、社会生活の中でさまざまな生きづらさを抱えていますが、見た目に分からないため、周りの理解やサポートが不可欠です。しかし、実際にはその理解が浸透しているとは言い難い状況です。
社会福祉法人「息吹」が運営する地域活動支援センターパオみのおは、2003年施設コンフリクトを経験しています。桜井駅近くに移転の計画をしていましたが、地域住民の強い反対運動が起こりました。精神障害者への偏見は予想以上に根強く、それを変えていく難しさを改めて思い知らされたそうです。
箕面市では、精神障害者理解促進事業ハートパークを立ち上げ、小学生向けに様々なワークショップを提供し、大人向けには研修会を行ったりして、精神疾患への理解と認知を深める取り組みをしています。ハートパークが目指すのは、共学・共生「誰もが暮らしやすい社会」です。
実際に「息吹」でお仕事をされている当事者の方々のお話を聞くことができました。統合失調症を発症し、今もなお続く症状を抱えながら、仕事に従事されている方もいれば、自身が幼い頃に暴力を受け大人になってから精神疾患と診断された方もいました。その方は、『私たちは、「障害者」ではなく、「挑碍者」(障碍に挑戦する人)だ』と訴えています。皆さん、生きづらさを抱えながらも、前向きに、誠実に生きていらっしゃると感じました。
ハートパークの取り組みは、社会には周りの理解とサポートを必要とする人たちがいることを、多くの子どもたちに伝えています。この活動が長く広く続き、「誰もが暮らしやすい社会」になってほしいと思います。