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孤狼の血 LEVEL2

2021年08月29日 | 映画
孤狼の血 LEVEL2
を観ました。


3年前に暴力組織の抗争に巻き込まれ殺害されたマル暴の刑事・大上の後を継ぎ、広島の裏社会を治める刑事・日岡(松坂桃李)。
しかし、刑務所から出所した“ある男”の登場によって、その危うい秩序が崩れていく…。
やくざの抗争、警察組織の闇、マスコミによるリーク、身内に迫る魔の手、そして圧倒的“悪魔”=上林(鈴木亮平)の存在によって、日岡は絶体絶命の窮地に追い込まれる…!


白石和彌監督です。
前作の孤狼の血がなかなかインパクトあるバイオレンス映画だったのですがその続編です。

前作はなかなか豪華なキャストだったけどそれが今作は結構キャストが入れ替わってる印象だったので。
続編系でこういうパターンはちょっと萎えポイントなのですが。
いやはやそんなのが全然老婆心だったほど面白かったです。

前作は良くも悪くも作品自体がアウトレイジの呪縛にあった印象を受けざるを得ない時期だったので。
アウトレイジから時間を置いたこのタイミングはより自然に見れました。

昭和末期、平成初期の広島を舞台にした超本格的な獄道モノ。
時代再現のクオリティ、湿度まで伝わってくるような雰囲気は前作同様かなり見事です。
めちゃくちゃタバコ吸うしこれくらい遠慮も無かったですし。
ああ、確かに当時のベンツは極道専用車のようで見かけるだけで威嚇されたなと懐かしくなりました。
R15なのでバイオレンスやグロが苦手の人には論外ですが、物凄い熱量とパワーを持った作品で血液が沸騰しそうに興奮しました。

作品作りはとことんやりきるべきなのだと改めて思い知る作品でした。
こんなバイオレンスな作品を見て妙ですが、
テレビやラジオはほんのちょっとの失言でも炎上する昨今だけど映画の表現の自由はまだ守られているのが素敵だと思ってしまいました。

アクションの迫力も凄いし役者陣の鬼気迫る演技が物凄いです。
主要キャストはみんな賞レースを賑わすこと間違いないと思わされるような熱演です。
特に鈴木亮平はトラウマになるくらい怖かったです。

物語は前作がうまいこと起承転結していた印象なのに、見事違和感の無いその続編でした。
ストーリー展開のテンポ感も見事で、衝撃的な展開もあり、かなりショックなどんでん返しでした。
人間関係やそれぞれの思惑の複雑さ加減も丁度いい塩梅で見心地が良かったです。
こんな破綻しきった怖い物語どうやって締めくくるのか?と思いましたが見事でした。

主演の松坂桃李は前作の終盤のキャラがそのまま加速したような。
まさに前作の役所広司の役を継承するかのような極道刑事になってました。
それを象徴するように前作役所広司が使ってたジッポが映されるシーンが多かった印象でした。
前作では大学出のエリートがこんなになってしまうとは環境は怖いことをそこで示してました。
手段を選ばず広島での抗争を抑え込んでいましたが一人の男の手によってボロボロに崩壊していく様が切なくも痛快でした。
こんなに完璧に見える強気なキャラクターでも身も心もボロボロにされる衝撃の展開は見事でした。
俺アカデミー賞に完全にノミネートでした。

今作の最大の敵、狂った猟奇的な極道を鈴木亮平が演じていました。
ノールールな狂気の極道と猟奇殺人鬼の融合体、トラウマになるくらい怖かったです。
自分もかつて治安が悪かった土地で生まれ育ちましたが、本当に怖い人はこんなだったし何か違法なことをするのに躊躇も無いです。
そんな光景を思い出してトラウマが蘇るようでした。
適度に賢くそして狂った悪なのに一切の迷いのない哲学を持ってるのがさらに恐ろしかったです。
今まで見てきたあらゆる悪役でも頂点くらいの凄まじさだったと思います。
ジョーカーなんかより凄い圧倒的な悪でした。
レクター博士が脳内でオーバーラップしていました。

西野七瀬がヒロイン的なスナックのママ役でした。
乃木坂大好きでなぁちゃん大好きをやってきたので元々はこの子が目的でしたが。
親近感があるだけに演技力的に、作風的に大丈夫かな?宇宙のお仕事みたいな演技だったら良いなと思いましたが。
めちゃくちゃ白石和彌テイストに仕上がっていました。
慟哭の演技は素晴らしくもらい泣きしてしまいました。
期待を良い風にめちゃくちゃ裏切られ俺アカデミー賞にゴリゴリにノミネートでした。

松坂桃李の弟分のスパイ役を村上虹郎がやってました。
これまた超板挟みで一番危険なことをやらされて、とことん悲しくて辛かったですね。
この子は元々サラブレッドな演技派ですがもう完全に独り立ちしてきた印象ですね。
素晴らしい演技でした。

松坂桃李のバディ刑事が中村梅雀でした。
これが実に頼りなく絶妙なバランス感で見事なキャスティングでした。
序盤の想像以上に重要な役でした。

斎藤工が前作から続くメインの組のエース的なポジションでしたが。
独特の極道で非常にカッコよかったです。

寺島進がらしい偉い極道の役でした。
この人にこの役をやらせるとショッキングってなるくらいの存在感があるのは凄いですね。

吉田鋼太郎一番えらいポジションでしたが結構情けないカッコ悪いキャラでした。
それでもこのポジションをやるにはやはり十分な存在感でした。

記者役の中村獅童も大クセで良かったですね。
前作も出てましたが今作は大分出番が多く重要な役でした。

音尾琢真も前作から引き続き出てましたが、極道からインテリヤクザみたいなキャラになってて。
かなり姑息なキャラになってました。

ほかもたくさんのキャストが出てましたが全ての人が凄い役作りでした。
一体どんなモチベーションや空気感で作品作りしてたんだろうと感心してしまいました。

序盤から凄いのに中盤でピークに達して、そこからラストまで更に加速していくような。
一生忘れられないジャパニーズバイオレンス映画でした。


そんなわけで9点。

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