メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

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鳩の撃退法

2021年09月03日 | 映画
鳩の撃退法
を観ました。


一年前、閏年の二月二十九日。雪の降る夜。
かつては直木賞も受賞したが今は富山の小さな街でドライバーとして働いている津田伸一は行きつけのコーヒーショップで偶然、幸地秀吉(風間俊介)と出会い、「今度会ったらピーターパンの本を貸そう」と約束をして別れる。
しかし、その夜を境に幸地秀吉は愛する家族と共に突然、姿を消してしまう。
それから一か月後、津田の元に三千万円を超える大金が転がりこむ。ところが喜びも束の間、思いもよらない事実が判明した。
「あんたが使ったのは偽の一万円札だったんだよ」
ニセ札の動向には、家族三人が失踪した事件をはじめ、この街で起きる騒ぎに必ず関わっている裏社会のドン・倉田健次郎(豊川悦司)も目を光らせているという。
倉田はすでにニセ札の行方と共に、津田の居場所を捜し始めていた……。
神隠しにあったとされる幸地秀吉一家、津田の元に舞い込んだ大量のニセ札、囲いを出た鳩の行方、津田の命を狙う裏社会のドン、そして多くの人の運命を狂わせたあの雪の一夜の邂逅……。
富山の小さな街で経験した出来事を元に書かれた津田の新作に心を躍らせる鳥飼だったが、読めば読むほど、どうにも小説の中だけの話とは思えない。
過去の暗い記憶がよぎる鳥飼。小説と現実、そして過去と現在が交差しながら進む物語。彼の話は嘘? 本当?
鳥飼は津田の話を頼りに、コーヒーショップ店員・沼本(西野七瀬)の協力も得て、小説が本当にフィクションなのか【検証】を始めるが、そこには【驚愕の真実】が待ち受けていた―。


タカハタ秀太監督・脚本です。
長編映画を見るのは初めてな気がしますが主にSMAPあたりの映像作品をやってたTVディレクターですね。
過去作を見るとそれなりに興味深いものが多かったです。

うっすら予告編を見たくらいで前情報はなく、主に大好きな西野七瀬を目当てに見に行ったのですが。
想像以上のハイレベル作品で面白かったです。

序盤からかなりの情報過多の上に説明不足で始まり。
どういう状況だろうか?人物相関図はどうなっているのだろか?
というかなり疑問の中でちょっと早めのテンポで進むのでちょっと心が折れそうになりましたが。
実に見事なテンポ感でストーリーの全体像が見えていきます。
なんというかトランプのゲームで言うならカードを切る順番が非常に巧妙だと思いました。
この手の巧妙系の作品はいくつか見てきましたがその中でもかなり上位でした。

同じシーンをちょっと違った視点で見せる自分がガイ・リッチー式と呼ぶ手法が今作でも巧みに使われていました。
映画にしては珍しく同じシーンを繰り返し見せていました。
主人公が小説家ということで自分が体験した奇妙な出来事を小説の題材にしています。
編集者がそれがフィクションなのか?ノンフィクションなのか?
ノンフィクションは困るというように映画自体も現実なのか虚構なのか疑わせる塩梅も見事でした。

ストーリーも脚本も編集も役者陣の演技も素晴らしいので娯楽作品としてスキ無くずっと没入できました。
終盤の回収劇はかなり爽快痛快でした。

主人公の小説家を藤原竜也が演じていました。
芋づる式にトラブルに巻き込まれてどんどん複雑泥沼になっていく感じは彼にピッタリでした。
昔はクセ強すぎで苦手に思うこともありましたが、だんだんいい塩梅になってきて今やすっかり好みの俳優です。

編集者の役を土屋太鳳が演じていました。
ストーリーテラーにも近いですが、序盤に語られ続けた奇妙な物語を検証していく非常に珍しいポジションでした。
仕事に熱くバタバタとした印象で共感しやすいキャラクターでした。

ストーリー上重要なカフェのウェイトレス役を西野七瀬が演じていました。
変なモジャモジャ頭で彼女の美貌をちょっと薄めていい塩梅に関西の女の子感出してて見事でした。
それでもよく見ればめちゃくちゃ可愛かったですが。
ドライでクールなキャラクターでしたがこれは結構ハイレベルに西野七瀬ならではですね。
元々アイドルアイドルしたタイプでも無くナチュラル系だったので女優としてのスペックも高いと思います。

物語序盤にカフェで偶然出会う男を風間俊介が演じていました。
終盤には激しいシーンもありましたが基本的にはクールで非常に物静かなキャラでした。
彼のこの手の演技は結構好みでした。

裏ボスポジションを豊川悦司がやっていました。
口数少なく本心も見えずかなり説得力のある怖さを醸し出していました。
このポジションをやるには最適のキャスティングだったと思います。

佐津川愛美が風間俊介の妻役でした。
ルックスに反してセクシー系だったり過激な役が多い印象でしたが今作もなかなかの体当たりでした。

リリー・フランキーが床屋の店主役でした。
ボスに支配されているようなポジションでしたがクールで予想外のやり手でらしかったです。
この人もすっかり日本映画に欠かせない役者になっていますね。

その他、村上淳、浜野謙太、駿河太郎、濱田岳、坂井真紀、森カンナ、桜井ユキ、岩松了、柿澤勇人などなかなかの豪華キャストで見応え十分でした。

後味、余韻、考察の余地、精神性の意味深もあって非常に面白い映画でした。


そんなわけで8点。

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