メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

来る

2018年12月16日 | 映画
来る
を観ました。


オカルトライター・野崎のもとに相談者・田原が訪れた。
最近身の回りで超常現象としか言いようのない怪異な出来事が相次いで起きていると言う。
田原は、妻・香奈と幼い一人娘・知紗に危害が及ぶことを恐れていた。
野崎は、霊媒師の血をひくキャバ嬢・真琴とともに調査を始めるのだが、田原家に憑いている「何か」は想像をはるかに超えて強力なモノだった。
民俗学者・津田によると、その「何か」とは、田原の故郷の民間伝承に由来する化け物「・・・」ではないかと言う。
対抗策を探す野崎と真琴。そして記憶を辿る田原・・・幼き日。「お山」と呼ばれる深い森。
片足だけ遺された赤い子供靴。名を思い出せない少女。誰かがささやく声。
その声の主・・・そ・う・か!・あ・れ・の・正・体・は、・あ・い・つ・だ!
決して「・・・」の名を呼んではならない。
「・・・」は、声と形を真似て、人の心の闇に・・・来る!!!
どんどんエスカレートする霊的攻撃に、死傷者が続出。
真琴の姉で日本最強の霊媒師・琴子の呼びかけで、日本中の霊媒師が田原家に集結し、かつてない規模の「祓いの儀式」が始まろうとしていた。
彼らは、あれを止めることができるのか!?


中島哲也監督作品です。
最高峰の評価をしてきた中島哲也監督の最新作です。

大々的に予告もやっていてなかなかの期待値でした。
告白以降はキレイな作品を作るのをやめた印象がありますが、今作もそんな感じでした。

かなりミステリアスな予告編で謎だらけで、ここまで強い引きを押し出した邦画も久々な気がしました。
素直に「どういう話だろう?何が来るのだろう?」と好奇心をいだきました。

そんなわけでネタバレしないように品評しておきます。

中島哲也監督なのにガッツリのホラーエンターテイメント作品でした。
序盤から日本の田舎の民間伝承的な導入でした。

ハリウッドホラーのようなアトラクション感とは違い、
リングや呪怨のようなゾワゾワ来る恐怖とも違い、
しっかりと中島哲也ワールドが出ていたド派手なホラー作品でした。
その点では予告編のテイストを裏切らない、非常に新しいタイプのホラー映画でした。

ただ前作の「渇き」同様にキレイな起承転結はもうやめてしまった感じはあり、
起承転まで行ってもキレイな結は来ない印象です。
ひたすら謎と怖さを繰り出してきて、よくわからないけど恐ろしいって内容です。

特別にチャプターで分かれてはいませんが、作りは完全にその手のもので主人公は次々と変わっていきます。
それは過去の映画の王道の作りを覆すかなり独特な作りでした。

そして思いっきり発散していくクライマックスと皮肉すぎる衝撃的はラスト。
あり物の普通の映画を作る気がない監督の意志はかなり伝わりました。

主演の岡田准一はワイルドでガサツな役どころで非常にかっこよかったです。
過去の岡田准一の中でも最もかっこいいかも、って思うくらいかっこいいキャラでした。
それでいて妙な弱さや人間味もあり感情移入しやすかったです。

妻夫木聡がイクメンパパで最初にあれに狙われる役でした。
イクメンパパを必死に演じている腹黒さを持っていてクズのようでも命懸けで家族を守ろうとする。
勧善懲悪の作品では無い感じがこのキャラから伝わりました。
この人物も嫌な表裏がありますが、周りの人間にも嫌な表裏があって嫌な気持ちになります。

その妻を黒木華が演じていました。
お母さん役をやらせても妙にしっくり来るのはこの世代の女優ではかなり貴重でしょう。
物語の中で徐々にキャラが変わっていく様も見事でした。

好みの小松菜奈がびっくりするくらい変わったルックスとキャラクターでした。
前作同様監督にかなりプレッシャーかけられていることが想像できます。
キャバ嬢でありながら霊感が強い女性で序盤から終盤まで非常に重要な役どころでした。
そしてこんなルックスでもとても魅力的で素晴らしい女優だと思いました。

松たか子が告白の先生を彷彿とさせるような、非常に無感情で過激なことを言う感じが良かったです。
告白ファンとしては嬉しい限りな松たか子でした。
衝撃的な出来事の連続なのにめちゃくちゃ無感情に大それたことをするぶっ飛んだ役でした。

柴田理恵が想像以上にいい演技です。
柴田理恵ってことを忘れてしまうくらいの説得力ある霊媒師っぷりでした。

青木崇高が妻夫木聡の友人役でやっぱり表裏ある感じで。
カッコよさといい人っぷりとその逆と。
意外と難しそうな役でした。

大好きな太賀が中島哲也作品に出ているのは嬉しいですね。
出番は少なめですが印象はありました。

中島哲也監督は過去にものすごい名作があるので多くの人がそのクオリティを期待するとちょっと裏切られると思います。
正直、自分も期待していたものとは違いました。
ただ天才タイプの監督なのですでにやったことはやらず、次のステージに行ってる感は感じました。

相変わらずのオリジナリティとアート性は見事です。
そして他人がやることはやらないとんがってる感もいいです。


そんなわけで7点。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。