ベン・イズ・バック

ベン・イズ・バック
を観ました。


クリスマス・イヴの朝、19歳のベン・バーンズ（ルーカス・ヘッジズ）は実家に突然戻り家族を驚かせる。
薬物依存症の治療施設を抜け出し帰ってきたのだ。
久しぶりの再会に母ホリー（ジュリア・ロバーツ）は喜び、温かく迎え入れた。
一方、疑い深い妹アイヴィー（キャスリン・ニュートン）と良識ある継父のニール（コートニー・B・ヴァンス）は、過去の経緯から、ベンが何か問題を起こして自分たちの生活を脅かすのではと不安に駆られる。
両親はベンに、24時間のホリーの監視を条件に、一日だけ家族と過ごすことを認めた。
その夜、一家が教会でのクリスマスの催しから戻ると、家の中が荒らされ、愛犬が消えていた。
これはベンの過去の報いに違いない。誰か分からないが昔の仲間の仕業だ。
凍てつくような夜、ベンは犬を取り戻しに飛び出す。それを追うホリー。
ベンが過去を清算しようとする中で、息子の人生を食い荒らす恐ろしい事実を知るホリーは、ベンを救うことが出来るのは自分だけであることに気づき、全力で守ることを決意する。
だがベンはホリーの前から姿を消してしまう・・・。


ピーター・ヘッジズ監督・脚本・製作です。
なかなかハイセンスで自分好みの雰囲気だったので観に行ってみました。

予告の時点で最近見たばかりのあるビューティフル・ボーイと似てるなと思っていましたが、まあ同じ引き出しの作品でしょう。
母子ものなので同じルーカス・ヘッジズ主演のある少年の告白にも雰囲気は似てるという印象です。

演出としてはかなりもったいぶった演出とヒステリックなやり取りの繰り返しです。
もう少しハイセンスなものを期待してましたが結構ローセンスにヒステリックでやかましいタイプの作風でした。
過去に非常に問題があった長男が急に施設から帰ってきて喜ぶ母と歓迎しないそれ以外の家族。
更生したという母と本人を信用できない他の家族や周囲との衝突。
彼が帰ってきたことにより家族に起きるトラブル、物語は一気に急展開です。

お話はとある一晩を描いていてちょっと24のジャック・バウアー感でした。

とにかく登場人物たちがいちいちいちいちいちいち秘密にすることで食いつかせようとしてくるのがかなりストレスでした。
これはどんでん返しとかの類ではなく、正解はCMのあと、的な安直な引っ張りをされているだけでした。
教えて！それは言えない！の連続です。
その度に極度のヒステリックになりヒステリック演出が苦手な自分にはしんどかったです。
この手の作品をヒステリックじゃなく心情描写すればもっと響くとはおもうのですが。

息子が関わってきた世界が怖くてなかなかスリリングでした。
平和な家族の中で息子だけが非常にダークな世界に染まっていて、ただキャラクター的にはとても好青年で。
こういう穏やかな暮らしの直ぐ側にそういう怖い闇が隣接している感じです。
これがアメリカの薬物問題の深刻さなのかな？と想像しました。
よその薬物依存作品同様、日本人にはちょっと感情移入はしにくい文化だと思います。
アメリカではひょっとしたらこういう状況が密かな社会問題なのかな？と想像しながら見ていました。
だからこんなにも感情的でヒステリックなのかなと思いました。

大体は予定調和的な展開で、そりゃそうだろな安直な展開もちらほらでした。
このテイストの作品で、「あ、UFO！」みたいなのに騙される展開は欲しくなかったですね。

クライマックスや終わり方は多少良かったです。
とにかく深すぎる母の愛は伝わりました。

主人公のジュリア・ロバーツは若い頃は可愛くて好きだったものですがすっかり良いおばさん女優になりましたね。
この世代の女優さんではちゃんとシフトしながら見事に一線で活躍し続けていて立派だと思います。
こういう渋い作品でもちゃんと存在感を発揮していて、演技も上手だと思います。
今作は終始ヒステリックでちょっと個人的には苦手なタイプですが熱量は素晴らしかったです。
ジャック・バウアーに匹敵するくらい頑張っていました。

息子役のルーカス・ヘッジズも主役級で素晴らしかったです。
僕のかなり評価するハイセンス系な作品の常連で評価高いです。
今作は演出が極端でしたがこの子自体は非常に素晴らしい演技します。
今後もこの路線で活躍をし続けてほしいです。

娘役をキャスリン・ニュートンが演じていました。
最近名探偵ピカチュウで観て好きになったばかりですがやっぱりかわいいですね。
かなりルックスのレベルが高いと思います。
そして今作ではしっかりとした演技力も見せていてより好きになりました。

ヒステリックな演出とネタばらしの引っ張りが苦手でしたが根本的にはハイレベルな映画でした。


そんなわけで5点。