メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

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「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

窮鼠はチーズの夢を見る

2020年09月13日 | 映画
窮鼠はチーズの夢を見る
を観ました。


学生時代から「自分を好きになってくれる女性」ばかりと受け身の恋愛を繰り返してきた、大伴恭一。
ある日、大学の後輩・今ヶ瀬渉と7年ぶりに再会。
「昔からずっと好きだった」と突然想いを告げられる。
戸惑いを隠せない恭一だったが、今ヶ瀬のペースに乗せられ、ふたりは一緒に暮らすことに。
ただひたすらにまっすぐな想いに、恭一も少しずつ心を開いていき…。
しかし、恭一の昔の恋人・夏生が現れ、ふたりの関係が変わりはじめてゆく。


行定勲監督作品です。
最近急増中のLGBTモノ、BLモノですね。

不思議と友人にLGBT絡みの人が多いのですが、その手の作品は正直苦手です。
差別する気持ちは無いのですが本音や本能みたいなところでその手の描写を観たくない気持ちは常に強いです。
とかくBLは苦手なので抵抗を抱きつつも行定監督ならどう描写するのか?という好奇心で観に行きました。
するとやっぱり完全に行定ワールドって感じでした。

一応美形のカップルなので気持ち悪いような感情はあまり芽生えませんでした。
とかく超美形な成田凌が本格ゲイなのでかなり見れる仕上がりでした。
ただ濡れ場は流石にしんどかったですが。
R15+だけあって濡れ場はなかなか生々しかったです。
こうしてゲイの人達はエッチするのね、と文化の勉強にもなりました。
発展場の空気感もきっとそれなりにリアルなのだと思います。
全く知らない世界なので勉強になりました。

女にだらしない男がひょんなことからゲイに目覚めバイセクシュアルになる感じは妙にリアルでした。
こんな感じで目覚めていく人は結構いるのだろうな、と想像できました。

作品全体が不思議と上品でとてもおしゃれなので思ったより全然見やすかったですね。
長いことアローンで生きてる自分には素直に登場人物たちが羨ましかったです。
愛のカタチは様々でしたが好きな人に尽くしたり傷ついたり一緒に居たり。
こういうスパイスが人生にはあるといいですね。
不思議と結婚や同棲へのあこがれが強まり、こんなおしゃれな部屋でおしゃれな暮らしがしたいと思いました。

主人公がバイ・セクシャルなので恋愛の幅も広く性別を越えていててとても現代的な印象でした。
ゲイを秘密にする困難とか暴露的なトラブルとか起きるのかな?とも予想しましたが特になかったです。
そういう視点に持っていくのもそろそろ古くて前時代的なのかも知れないと思いました。
一般的なラブロマンスみたいな一旦くっついたり離れてまたくっつくとかの予定調和的でもなく。
場面場面でくっついたり離れたり追ったり追われたり、その度にしっかりと傷つく感じは生々しさを感じました。

行定監督作品はひまわりからずっとリアルタイムで観てますが、とてもジーンとする映像が好物です。
それに代表されるのが夜明けの空の綺麗な映像だったりしますが、今作もそれがあって興奮しました。
しかもひまわりやきょうのできごとみたいに砂浜のシーンもとても効果的でその映像だけで泣きそうでした。

なんにせよ人は一人では生きれず恋をする生き物なのだと思わされる内容でした。
そして妙にスローライフを感じさせる叙情的でおしゃれな演出が好みでした。
生活スタイルを提唱する映画、生活スタイルに影響を与えるような作品は好みです。
主演以外がいわゆる売れっ子ではない女優を多く起用してるのもそういうコンセプトを感じさせて良かったです。

大倉忠義が順風満帆なビジネスマンの感じで妻に優しい理想の夫のようで裏では女にだらしない男で。
こういう男って自分の周りにも結構いるタイプだなと素晴らしい説得力でした。
徐々にゲイに目覚めていく感じ、体当たりな濡れ場。
ジャニーズとは思えない本格的な演技でワンランク上のカテゴリーに行った気がしました。

成田凌はハンサムでルックスもとても好みです。
ゲイらしいナヨナヨしたキャラクターでとても素晴らしい役作りとクオリティでした。
こんな綺麗な子ならありかも、って思わされるくらいでした。
タバコを色っぽく使っていてそれも効果的でしたね。

吉田志織、さとうほなみ、咲妃みゆ、小原徳子という大倉忠義にまつわる女性たちもとても印象的でした。
良いキャスティングだと思いました。

行定監督作品はどんなテーマであれ流石のクオリティです。


そんなわけで7点。

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