ナチス第三の男
を観ました。
1930年9月、ヒトラー率いるナチス党は、世界恐慌以降のドイツ国民の社会不安を背景に支持を拡大させ、大躍進していた。海軍士官学校を経てキールのバルト海海軍基地に通信将校として勤務していたラインハルト・ハイドリヒ(ジェイソン・クラーク)は、社交場で出会った貴族階級のリナ・フォン・オステン(ロザムンド・パイク)にたちまち心を奪われ婚約を決意するが、奔放な女性関係からある娘の父親で海軍上層部にコネクションがあるという男から訴えられ、不名誉除隊を余儀なくされる。自分の拠り所である軍籍をもぎ取られ、怒りに震えるハイドリヒだったが、確信的なナチ党支持者である婚約者リナの励ましに奮い立ち、ナチス党親衛隊(SS)指導者ハインリヒ・ヒムラーとの面接の機会を得る。党内に侵入した「敵」を摘発するために、SS内部に情報部を創設しようと考えていたヒムラーは、ハイドリヒのその試験での優れた出来栄えに感銘を受け、即日、情報部立ち上げを任せたのである。
ナチ党に入党したハイドリヒは、出世欲にも駆り立てられて、ナチ運動に没頭していく。ハイドリヒは、共産主義者などの政敵を撲滅するため、ドイツ全土にSS保安部(SD)の情報網を築き、徹底した諜報活動で頭角を現した。ヒトラー政権成立後は、ゲシュタポ(秘密国家警察)を始めとする警察も手中に収め、まもなく警察機構とSDを国家保安本部(RSHA)に統合する。ハイドリヒは、いまやRSHA長官として強大な政治警察・諜報組織を束ね、名実ともにヒムラーに次ぐSS・警察の実力者となった。そもそもハイドリヒの任務はナチズムの「敵」を撲滅することにあったが、彼は、ヒトラーやヒムラーの政治目標を実現する上で、必要とあらばその刃を体制内部に向けることもためらわなかった。そうしてハイドリヒは、有能だが危険な男として、いつしかナチス指導部でも一目置かれる存在となったのである。さらには、最終的に600万人を超えることになる<ユダヤ人大量虐殺>の首謀者として、また保護領(チェコ)の副総督として、誰も止めることのできない絶大な権力を手にしていく。
ナチスがヨーロッパのほぼ全土に占拠地域を広げるなか、ハイドリヒはチェコの統治を開始。情け容赦のない采配で、反体制勢力に対する弾圧や公開処刑を頻繁に行い、大勢の一般市民までもが犠牲となった。一方、ハイドリヒの統治に危機感を抱いた英政府とチェコスロバキア亡命政府は、ハイドリヒ暗殺計画(コードネーム「エンスラポイド(類人猿)作戦」)を立案し、暗殺計画の実行者として、亡命チェコスロバキア軍人からヤン・クビシュ(ジャック・オコンネル)、ヨゼフ・ガブチーク(ジャック・レイナー)を含む数名の若者を選抜する。パラシュートによってチェコ領内に送り込まれたヤンとヨゼフは、チェコ国内に潜伏するレジスタンスらの協力を得て、ハイドリヒの行動や習慣を徹底的にマークし襲撃の機会を伺う。任務の間に、ヤンは協力者の女性アンナ・ノヴァーク(ミア・ワシコウスカ)と出会い、燃え上がるほど情熱的な恋を経験する。若さと生命力がヤンとアンナを結び付け、若く、美しく、反逆精神に満ちた2人は激しく愛し合うが、自国の平和の為にその人生の全てを失おうとしていた。そして、1942年5月27日、遂に決行の朝はやってきた。ハイドリヒを乗せたメルセデスが市街地に入り、路面電車の後から姿を現した――。
無謀ともいえる計画は危うくも成功するが、ハイドリヒ暗殺に激怒したナチスは容赦のない報復に乗り出した。報復の徹底ぶりは凄まじく、複数の村を消滅させ、男性は処刑、女性や子供は強制収容所に送られた。ヤンとヨゼフは、プラハの中心部の聖キュリロス・聖メトディオス正教会の地下室にかくまわれるも、親衛隊が暗殺部隊の支援者を拷問にかけたことで、居場所を突き止められてしまう……。
セドリック・ヒメネス監督です。
あまり前情報はなかったですが、自分が人生の中でずっと追っているナチスドイツ映画なので迷わず見てみました。
なかなかインパクト大きい冒頭のシーンから始まりそれがどうなったのか?
という遡り手法で描かれます。
そして映画は大きく2部構成になっていて、前半はハイドリヒという男の半生を描いていて。
後半はハイドリヒを暗殺しようと活動する若者たちのスリリングな映画でした。
相変わらずしんどいナチスドイツが大量虐殺している狂気の時代の映画です。
今回はヒトラーでもヒムラーでもなくハイドリヒという男を描いた物語でした。
強い出世欲から容赦ない虐殺政策、恐怖政治で各地の都市を治めて行きます。
こういう男がナチスの狂気に拍車をかけたのでしょう、妙に説得力はありました。
反抗する者、それらを告発しないものも虐殺、告発したものには多くの褒美。
わかりやすいクズな方法論ですが、恐怖政治直下では非常に効果的ですね。
こんな時代にこの地域で生きた人たちの心情は想像も付きませんが。
活動する若者たちを応援したい気持ちは強かったです。
かなり没入して力が入ってしまいました。
一つ大きな喜びがあったかと思いきやそれによりさらなる絶望的な追い込み。
希望もなにもない世界でした。
いつもながら、ついこの前までこんなことをしていた国家が今ヨーロッパで許されていることが不思議です。
日本はアジアでこんなにも許されていないのに。
ジェイソン・クラークが狂気の主人公を演じていました。
ヒステリックで出世欲が強く、出世のためならば手段を選ばないはっきりとした男でした。
憎らしいですが、こんな男が生まれるのもなんの不思議もない時代だと思います。
ヒトラーのような男が生まれたのは謎ですが。
ファースト・マンで見たばかりでしたが全く違う素晴らしい演技でした。
その妻をロザムンド・パイクが演じていました。
そんな狂った男の妻にふさわしいような納得できる人物像でした。
ジャック・オコンネルがハイドリヒを暗殺しようとする若者たちを演じていました。
今ならばITツールでできるような些細なことも当時は命がけで。
連絡を取ることさえ命がけな時代でした。
ジャック・レイナーも同じく暗殺を試みる若者で。
なかなか説得力ある良い役作りでした。
こんな時代にこんな若者たちがいたことを忘れたくないものです。
ミア・ワシコウスカがそんな若者の恋人役でした。
あまり出番は多くなく贅沢な使い方でしたが、流石の存在感でした。
新たにこのような男がいたと知れて勉強になりました。
やはり嫌な気分になりナチスに関してもっと知りたいと思わせてくれるいい映画でした。
今後もこの辺のことは学んで行きたいし再びドイツやポーランドに行こうと思えました。
そんなわけで7点。
を観ました。
1930年9月、ヒトラー率いるナチス党は、世界恐慌以降のドイツ国民の社会不安を背景に支持を拡大させ、大躍進していた。海軍士官学校を経てキールのバルト海海軍基地に通信将校として勤務していたラインハルト・ハイドリヒ(ジェイソン・クラーク)は、社交場で出会った貴族階級のリナ・フォン・オステン(ロザムンド・パイク)にたちまち心を奪われ婚約を決意するが、奔放な女性関係からある娘の父親で海軍上層部にコネクションがあるという男から訴えられ、不名誉除隊を余儀なくされる。自分の拠り所である軍籍をもぎ取られ、怒りに震えるハイドリヒだったが、確信的なナチ党支持者である婚約者リナの励ましに奮い立ち、ナチス党親衛隊(SS)指導者ハインリヒ・ヒムラーとの面接の機会を得る。党内に侵入した「敵」を摘発するために、SS内部に情報部を創設しようと考えていたヒムラーは、ハイドリヒのその試験での優れた出来栄えに感銘を受け、即日、情報部立ち上げを任せたのである。
ナチ党に入党したハイドリヒは、出世欲にも駆り立てられて、ナチ運動に没頭していく。ハイドリヒは、共産主義者などの政敵を撲滅するため、ドイツ全土にSS保安部(SD)の情報網を築き、徹底した諜報活動で頭角を現した。ヒトラー政権成立後は、ゲシュタポ(秘密国家警察)を始めとする警察も手中に収め、まもなく警察機構とSDを国家保安本部(RSHA)に統合する。ハイドリヒは、いまやRSHA長官として強大な政治警察・諜報組織を束ね、名実ともにヒムラーに次ぐSS・警察の実力者となった。そもそもハイドリヒの任務はナチズムの「敵」を撲滅することにあったが、彼は、ヒトラーやヒムラーの政治目標を実現する上で、必要とあらばその刃を体制内部に向けることもためらわなかった。そうしてハイドリヒは、有能だが危険な男として、いつしかナチス指導部でも一目置かれる存在となったのである。さらには、最終的に600万人を超えることになる<ユダヤ人大量虐殺>の首謀者として、また保護領(チェコ)の副総督として、誰も止めることのできない絶大な権力を手にしていく。
ナチスがヨーロッパのほぼ全土に占拠地域を広げるなか、ハイドリヒはチェコの統治を開始。情け容赦のない采配で、反体制勢力に対する弾圧や公開処刑を頻繁に行い、大勢の一般市民までもが犠牲となった。一方、ハイドリヒの統治に危機感を抱いた英政府とチェコスロバキア亡命政府は、ハイドリヒ暗殺計画(コードネーム「エンスラポイド(類人猿)作戦」)を立案し、暗殺計画の実行者として、亡命チェコスロバキア軍人からヤン・クビシュ(ジャック・オコンネル)、ヨゼフ・ガブチーク(ジャック・レイナー)を含む数名の若者を選抜する。パラシュートによってチェコ領内に送り込まれたヤンとヨゼフは、チェコ国内に潜伏するレジスタンスらの協力を得て、ハイドリヒの行動や習慣を徹底的にマークし襲撃の機会を伺う。任務の間に、ヤンは協力者の女性アンナ・ノヴァーク(ミア・ワシコウスカ)と出会い、燃え上がるほど情熱的な恋を経験する。若さと生命力がヤンとアンナを結び付け、若く、美しく、反逆精神に満ちた2人は激しく愛し合うが、自国の平和の為にその人生の全てを失おうとしていた。そして、1942年5月27日、遂に決行の朝はやってきた。ハイドリヒを乗せたメルセデスが市街地に入り、路面電車の後から姿を現した――。
無謀ともいえる計画は危うくも成功するが、ハイドリヒ暗殺に激怒したナチスは容赦のない報復に乗り出した。報復の徹底ぶりは凄まじく、複数の村を消滅させ、男性は処刑、女性や子供は強制収容所に送られた。ヤンとヨゼフは、プラハの中心部の聖キュリロス・聖メトディオス正教会の地下室にかくまわれるも、親衛隊が暗殺部隊の支援者を拷問にかけたことで、居場所を突き止められてしまう……。
セドリック・ヒメネス監督です。
あまり前情報はなかったですが、自分が人生の中でずっと追っているナチスドイツ映画なので迷わず見てみました。
なかなかインパクト大きい冒頭のシーンから始まりそれがどうなったのか?
という遡り手法で描かれます。
そして映画は大きく2部構成になっていて、前半はハイドリヒという男の半生を描いていて。
後半はハイドリヒを暗殺しようと活動する若者たちのスリリングな映画でした。
相変わらずしんどいナチスドイツが大量虐殺している狂気の時代の映画です。
今回はヒトラーでもヒムラーでもなくハイドリヒという男を描いた物語でした。
強い出世欲から容赦ない虐殺政策、恐怖政治で各地の都市を治めて行きます。
こういう男がナチスの狂気に拍車をかけたのでしょう、妙に説得力はありました。
反抗する者、それらを告発しないものも虐殺、告発したものには多くの褒美。
わかりやすいクズな方法論ですが、恐怖政治直下では非常に効果的ですね。
こんな時代にこの地域で生きた人たちの心情は想像も付きませんが。
活動する若者たちを応援したい気持ちは強かったです。
かなり没入して力が入ってしまいました。
一つ大きな喜びがあったかと思いきやそれによりさらなる絶望的な追い込み。
希望もなにもない世界でした。
いつもながら、ついこの前までこんなことをしていた国家が今ヨーロッパで許されていることが不思議です。
日本はアジアでこんなにも許されていないのに。
ジェイソン・クラークが狂気の主人公を演じていました。
ヒステリックで出世欲が強く、出世のためならば手段を選ばないはっきりとした男でした。
憎らしいですが、こんな男が生まれるのもなんの不思議もない時代だと思います。
ヒトラーのような男が生まれたのは謎ですが。
ファースト・マンで見たばかりでしたが全く違う素晴らしい演技でした。
その妻をロザムンド・パイクが演じていました。
そんな狂った男の妻にふさわしいような納得できる人物像でした。
ジャック・オコンネルがハイドリヒを暗殺しようとする若者たちを演じていました。
今ならばITツールでできるような些細なことも当時は命がけで。
連絡を取ることさえ命がけな時代でした。
ジャック・レイナーも同じく暗殺を試みる若者で。
なかなか説得力ある良い役作りでした。
こんな時代にこんな若者たちがいたことを忘れたくないものです。
ミア・ワシコウスカがそんな若者の恋人役でした。
あまり出番は多くなく贅沢な使い方でしたが、流石の存在感でした。
新たにこのような男がいたと知れて勉強になりました。
やはり嫌な気分になりナチスに関してもっと知りたいと思わせてくれるいい映画でした。
今後もこの辺のことは学んで行きたいし再びドイツやポーランドに行こうと思えました。
そんなわけで7点。