虐殺器官
を観ました。
9.11以降、テロとの戦いを経験した先進諸国は、自由と引き換えに徹底的なセキュリティ管理体制に移行することを選択し、
その恐怖を一掃。一方で後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加。世界は大きく二分されつつあった。
クラヴィス・シェパード大尉率いるアメリカ情報軍特殊検索群i分遣隊は、暗殺を請け負う唯一の部隊。
戦闘に適した心理状態を維持するための医療措置として「感情適応調整」「痛覚マスキング」等を施し、更には暗殺対象の
心理チャートを読み込んで瞬時の対応を可能にする精鋭チームとして世界各地で紛争の首謀者暗殺ミッションに従事していた。
そんな中、浮かび上がる一人の名前。ジョン・ポール。
数々のミッションで暗殺対象リストに名前が掲載される謎のアメリカ人言語学者だ。
彼が訪れた国では必ず混沌の兆しが見られ、そして半年も待たずに内戦、大量虐殺が始まる。
そしてジョンは忽然と姿を消してしまう。彼が、世界各地で虐殺の種をばら撒いているのだとしたら…。
クラヴィスらは、ジョンが最後に目撃されたというプラハで潜入捜査を開始。
ジョンが接触したとされる元教え子ルツィアに近づき、彼の糸口を探ろうとする。
ルツィアからジョンの面影を聞くにつれ、次第にルツィアに惹かれていくクラヴィス。
母国アメリカを敵に回し、追跡を逃れ続けている“虐殺の王”ジョン・ポールの目的は一体何なのか。
対峙の瞬間、クラヴィスはジョンから「虐殺を引き起こす器官」の真実を聞かされることになる。
伊藤計劃原作、村瀬修功監督です。
すっかりハマってしまった伊藤計劃作品ですが、今作も見事に名作です。
個人的にはかなり名作です。
自分が人生でずっと考えてきたことが大きなテーマになっていました。
言葉と人間の残虐性。
自分は3歳からピアノをしているせいか、音と言葉の違いに敏感に育った気がします。
クラシック音楽は感情をかなりプレーンに伝えられますが、
言葉は本来アナログである感情や心をデジタル化してフィルタリングして相手に伝わってしまいます。
言葉を覚えて言葉に支配されだすと心は言葉に寄っていってしまうような違和感を感じます。
そういう違和感を持ちながら生きてきましたが、全くその辺を追求するような内容ですぐに食いつきました。
言葉無しで人が残虐になるとは思えないのですよね。
今自分は、10種類くらいの言語を勉強していますが、
言葉の不思議さに妙な迷路に迷い込むことがあります。
全く文字も発音も文法も違う言語同士に共通点があったりするので、
数学の迷路と似たような感覚がありますね。
文字から生まれた言葉と発音から生まれた言葉があちこちでミックスしてるんですよね。
恐らく伊藤計劃さんも似たようなトレースしたのでは?と思ってしまいます。
それにしてもクールでスマートに難しいテーマを扱います。
そして空想SF世界の描写のリアリティも相変わらず素晴らしいです。
少し未来の世界ですが、テロの脅威を排除するために、
途上国で内戦を起こさせると言う設定はなかなか見事です。
暴力を封じ込められないので矛先を変えようという狙いです。
そして先進国の人間は自分たちの平和がいかに残酷な犠牲の上に成り立っているかを見ないという、
痛烈なメッセージ性もあります。
自分は一昔前、長いこと肉を食べませんでした。
豚や牛を殺す場面を知らずに加工された状態だけを扱う違和感に耐えられず。
シーンを沢山見て食べるのをやめたものですが。
それと同じようなメッセージ性を感じました。
先進国の人間がいかにズルいか?ネット通販の向こうにどれだけ過酷な状況で働いている労働者がいるかなんて気にしない。
人間は見たいものしか見ないと言う説教です。
確かにそうだと思いますね。
なので先進国を憎む人々の気持ちを理解するのは難しいと思います。
我々は便利さに洗脳されているので自分たちの罪に気づいていない場面は多いですね。
映像もクールで高品質で非常に見心地は良かったです。
残虐描写は多いですが、目を背ける程ではありません。
暗殺を請け負うアメリカの特殊部隊の人間が主人公ですが、
痛覚をマスキングされ痛みを感じず、精神が乱れないように脳にも手を入れられています。
なので子供のテロリストも容赦なく殺して行きます。
なかなか考えさせられます。
ジョン・ポールという世界中で虐殺を巻き起こす男を追うお話ですが、
この人がまた賢すぎて話す内容がイチイチ引き込まれます。
洗脳には無縁の自分でさえ、洗脳されそうな程のキャラでした。
人は言葉で操れる、虐殺には文法がある。
なんて納得ですが、怖いです。
自分が思う日本のアニメ映画らしい作品で、かなり好みのタイプでした。
そんなわけで8点。
を観ました。
9.11以降、テロとの戦いを経験した先進諸国は、自由と引き換えに徹底的なセキュリティ管理体制に移行することを選択し、
その恐怖を一掃。一方で後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加。世界は大きく二分されつつあった。
クラヴィス・シェパード大尉率いるアメリカ情報軍特殊検索群i分遣隊は、暗殺を請け負う唯一の部隊。
戦闘に適した心理状態を維持するための医療措置として「感情適応調整」「痛覚マスキング」等を施し、更には暗殺対象の
心理チャートを読み込んで瞬時の対応を可能にする精鋭チームとして世界各地で紛争の首謀者暗殺ミッションに従事していた。
そんな中、浮かび上がる一人の名前。ジョン・ポール。
数々のミッションで暗殺対象リストに名前が掲載される謎のアメリカ人言語学者だ。
彼が訪れた国では必ず混沌の兆しが見られ、そして半年も待たずに内戦、大量虐殺が始まる。
そしてジョンは忽然と姿を消してしまう。彼が、世界各地で虐殺の種をばら撒いているのだとしたら…。
クラヴィスらは、ジョンが最後に目撃されたというプラハで潜入捜査を開始。
ジョンが接触したとされる元教え子ルツィアに近づき、彼の糸口を探ろうとする。
ルツィアからジョンの面影を聞くにつれ、次第にルツィアに惹かれていくクラヴィス。
母国アメリカを敵に回し、追跡を逃れ続けている“虐殺の王”ジョン・ポールの目的は一体何なのか。
対峙の瞬間、クラヴィスはジョンから「虐殺を引き起こす器官」の真実を聞かされることになる。
伊藤計劃原作、村瀬修功監督です。
すっかりハマってしまった伊藤計劃作品ですが、今作も見事に名作です。
個人的にはかなり名作です。
自分が人生でずっと考えてきたことが大きなテーマになっていました。
言葉と人間の残虐性。
自分は3歳からピアノをしているせいか、音と言葉の違いに敏感に育った気がします。
クラシック音楽は感情をかなりプレーンに伝えられますが、
言葉は本来アナログである感情や心をデジタル化してフィルタリングして相手に伝わってしまいます。
言葉を覚えて言葉に支配されだすと心は言葉に寄っていってしまうような違和感を感じます。
そういう違和感を持ちながら生きてきましたが、全くその辺を追求するような内容ですぐに食いつきました。
言葉無しで人が残虐になるとは思えないのですよね。
今自分は、10種類くらいの言語を勉強していますが、
言葉の不思議さに妙な迷路に迷い込むことがあります。
全く文字も発音も文法も違う言語同士に共通点があったりするので、
数学の迷路と似たような感覚がありますね。
文字から生まれた言葉と発音から生まれた言葉があちこちでミックスしてるんですよね。
恐らく伊藤計劃さんも似たようなトレースしたのでは?と思ってしまいます。
それにしてもクールでスマートに難しいテーマを扱います。
そして空想SF世界の描写のリアリティも相変わらず素晴らしいです。
少し未来の世界ですが、テロの脅威を排除するために、
途上国で内戦を起こさせると言う設定はなかなか見事です。
暴力を封じ込められないので矛先を変えようという狙いです。
そして先進国の人間は自分たちの平和がいかに残酷な犠牲の上に成り立っているかを見ないという、
痛烈なメッセージ性もあります。
自分は一昔前、長いこと肉を食べませんでした。
豚や牛を殺す場面を知らずに加工された状態だけを扱う違和感に耐えられず。
シーンを沢山見て食べるのをやめたものですが。
それと同じようなメッセージ性を感じました。
先進国の人間がいかにズルいか?ネット通販の向こうにどれだけ過酷な状況で働いている労働者がいるかなんて気にしない。
人間は見たいものしか見ないと言う説教です。
確かにそうだと思いますね。
なので先進国を憎む人々の気持ちを理解するのは難しいと思います。
我々は便利さに洗脳されているので自分たちの罪に気づいていない場面は多いですね。
映像もクールで高品質で非常に見心地は良かったです。
残虐描写は多いですが、目を背ける程ではありません。
暗殺を請け負うアメリカの特殊部隊の人間が主人公ですが、
痛覚をマスキングされ痛みを感じず、精神が乱れないように脳にも手を入れられています。
なので子供のテロリストも容赦なく殺して行きます。
なかなか考えさせられます。
ジョン・ポールという世界中で虐殺を巻き起こす男を追うお話ですが、
この人がまた賢すぎて話す内容がイチイチ引き込まれます。
洗脳には無縁の自分でさえ、洗脳されそうな程のキャラでした。
人は言葉で操れる、虐殺には文法がある。
なんて納得ですが、怖いです。
自分が思う日本のアニメ映画らしい作品で、かなり好みのタイプでした。
そんなわけで8点。