メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

初恋

2020年02月28日 | 映画
初恋
を観ました。


欲望うずまく新宿・歌舞伎町。天涯孤独のプロボクサー・葛城レオ(窪田正孝)は稀有な才能を持ちながら、負けるはずのない格下相手との試合でまさかのKO負けを喫し、試合後に受けた診察で余命いくばくもない病に冒されていることを告げられた。
あてどなく街を彷徨うレオの目の前を、少女が駆け抜ける。「助けて」という言葉に反応し咄嗟に追っ手の男をKOする。
が、倒した男は刑事!レオは懐から落ちた警察手帳を手に取ると少女に腕をひかれ現場を後にする。
少女はモニカ(小西桜子)と名乗り、父親に借金を背負わされ、ヤクザの元から逃れられないことを明かす。
さっきレオが倒した男は刑事の大伴(大森南朋)で、ヤクザの策士・加瀬(染谷将太)と裏で手を組み、ヤクザの資金源となる“ブツ”を横取りしようと画策中。
その計画のためにモニカを利用しようとしていた。
ヤクザと大伴の双方から追われる身となったレオは、一度はモニカを置いて去ろうとするが、親に見放され頼る者もいないモニカの境遇を他人事とは思えず、どうせ先の短い命ならばと、半ばヤケクソで彼女と行動を共にする。
かたや、モニカと共に資金源の“ブツ”が消え、それを管理していた下っ端組員のヤス(三浦貴大)が遺体で見つかったことを、その恋人のジュリ(ベッキー)から知らされた組員一同。
組長代行(塩見三省)のもとで一触即発の空気が漂う中、刑期を終えて出所したばかりの権藤(内野聖陽)は、一連の事件を敵対するチャイニーズマフィアの仕業とにらみ、組の核弾頭・市川(村上淳)らと復讐に乗り出す。ヤスの仇を自らの手で討ちたいジュリもそれに続いた。
一連の黒幕と疑われたチャイニーズマフィアのフー(段鈞豪)もまた、売られたケンカを買ってシノギを乗っ取ろうと、モニカとブツの行方を追うために、構成員のチアチー(藤岡麻美)に命じて兵力を集めにかかる。
ヤクザと悪徳刑事にチャイニーズマフィア。ならず者たちの争いに巻き込まれた孤独なレオとモニカが行きつく先に待ち受けるものとは……。
欲望がぶつかりあう人生で最も濃密な一夜が幕を開けた!


三池崇史監督作品です。
言わずと知れた邦画界の巨匠ですが。
久々に監督らしい力作って印象があったので期待して初日に見に行きました。

様々な作風の作品をやりますが、やはりバイオレンスアクションこそ三池監督というイメージです。
ボクシングシーンな冒頭かららしさがぷんぷんですぐに入り込めました。

非常にスピード感を感じさせる多元的な複数人のストーリーを見事なバランス感で見せています。
その段階では脈絡はわからないですがどうやって交差するんだろう?というワクワク感はなかなかでした。

序盤は窪田正孝よりも染谷将太が主役な感じで。
めちゃくちゃ怖いヤクザの上司を裏切って悪徳警官と手を組んで出し抜く作戦を立てて。
その時点でもうやばい空気プンプンなのにその作戦が入り口で失敗しまくるという、この手の物語は結構好きですね。
3箇所くらいで役割を決めて結構するはずの計画が全部失敗に終わってめちゃくちゃ破綻した状態でその場その場を取り繕っていくタイプの物語は好きですね。
バカがバカをする物語は嫌いなのですが、間抜けな滑稽さは好きなのです。

失敗した人間がその場しのぎで誤魔化してるうちに事態はまさしくとんでもない状況になって。
日本ヤクザと中国マフィアの抗争になって、それに主人公たちも巻き込まれて。
もう関係なくなって開放かと思っても中国マフィアにヒロインが気に入られてしまったり。
とにかくこんがらかり方はかなり痛快でした。
昨年見たスノー・ロワイヤルとかロック・ストック・トゥー・スモーキング・バレルズを思い出しました。

バイオレンス描写やアクションの迫力はさすがのクオリティです。
邦画ではかなり上質な方で安心して見れます。
お金のかかってるようなシーンも多く画的にも説得力がありました。

肝心の主人公が自暴自棄に抗争に巻き込まれるきっかけもありえない展開で。
この手の作風の映画でこのレベルのコメディはあまり記憶に無いですね。
かなりウケて声出して笑ってしまいました。

三池監督は毎度ラストに感情的になって冗長な描写になっていくのが毎度苦手なのですが。
序盤はめちゃくちゃおもしろいのに、、、って作品が多いのですが。
今作はそれは回避してるかなって感じでした。
若干しつこい戦いの描写が気になりましたが、映像のクオリティが高いので許容範囲だったと思います。

アニメ描写を上手いこと使った遊び心ある描写もクライマックスのスケール感抜群な描写も非常に素晴らしかったです。
劇場で見るべき作品であることを知らしめる説得力でした。

主演の窪田正孝はなかなかボクサーらしい哀愁と情緒を漂わせていてよかったです。
個人的には三池監督の十三人の刺客で認識した印象が強いのでちょっと感慨深いものもありました。
彼のギャーギャー騒ぐヒステリック演技は苦手なのですが、こういうクールな役は結構好きです。

ヒロインの小西桜子は大抜擢なキャスティングですがいい感じでした。
かなりセクシーなカットもあり個人的な好みのMっ気も強くてかなりいい感じでした。
しばらくは注目されて仕事も増えそうなのでそこでの活躍に期待ですね。

染谷将太は言わずと知れた演技派ですが彼の幾つかある得意な役の一つでしたね。
チャラチャラして狡猾なクズっぽい役で。
バイオレンスからコメディまでかなりハイレベルにこなしていてさすがでした。

内野聖陽が非常に怖い極道役でかなり作品の毛色を作るのに貢献していたと思います。
出番以上に作品のカラーを決める素晴らしい存在感でした。
近年ではゲイな役をやったりもしますがこの迫力も流石ですね。
賞レースで名前が挙がる予感がしますね。

大森南朋が悪者刑事で良いクズっぷりでした。
間抜けだけどしっかりと狡猾な部分もあってとても素晴らしい仕事してましたね。

ベッキーがかなり狂気の女を演じていてかなり素晴らしいクオリティだったと思います。
タレント的にもキャラ変してますがそれに付随して女優としてワンランク本格派になった気がします。

トータルで三池監督のいい部分がよく出た娯楽作品だったと思います。


そんなわけで7点。

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