影裏
を観ました。
今野秋一(綾野剛)は、会社の転勤をきっかけに移り住んだ岩手・盛岡で、同じ年の同僚、日浅典博(松田龍平)と出会う。慣れない地でただ一人、日浅に心を許していく今野。二人で酒を酌み交わし、二人で釣りをし、たわいもないことで笑う…まるで遅れてやってきたかのような成熟した青春の日々に、今野は言いようのない心地よさを感じていた。
夜釣りに出かけたある晩、些細なことで雰囲気が悪くなった二人。流木の焚火に照らされた日浅は、「知った気になるなよ。人を見る時はな、その裏側、影の一番濃い所を見るんだよ」と今野を見つめたまま言う。突然の態度の変化に戸惑う今野は、朝まで飲もうと言う日浅の誘いを断り帰宅。しかしそれが、今野が日浅と会った最後の日となるのだった—。
数か月後、今野は会社帰りに同僚の西山(筒井真理子)に呼び止められる。西山は日浅が行方不明、もしかしたら死んでしまったかもしれないと話し始める。そして、日浅に金を貸してもいることを明かした。日浅の足跡を辿りはじめた今野は、日浅の父親・征吾(國村隼)に会い「捜索願を出すべき」と進言するも、「息子とは縁を切った。捜索願は出さない」と素っ気なく返される。さらに日浅の兄・馨(安田顕)からは「あんな奴、どこでも生きていける」と突き放されてしまう。
そして見えてきたのは、これまで自分が見てきた彼とは全く違う別の顔だった。
陽の光の下、ともに時を過ごしたあの男の“本当”はどこにあるのか—。
大友啓史監督です。
ハリウッド思考なエンターテイメント作品のイメージが強かったですが、徐々にインディペンデントテイストな作家性の強い作品になってきました。
今作も世の一般的な大友啓史作品を期待して見たら相当裏切られる内容でしょう。
冒頭から相当セリフが無く説明は無く、なにか意味深で良くないことになっている感じで。
東日本大震災の闇なんかも最初に提示してくるので世の中綺麗事だらけではないと知らしめられる感じでした。
説明は無いですが、近年あるあるの構造で過去に遡って冒頭のシーンに行き着くまでを描く流れです。
岩手に転勤している男の何気ない暮らしを妙に暗く陰鬱に描いていきます。
それも結構長尺で取り留めもない感じで描くのですがそれが作品に良い湿度みたいなものを与えています。
唐突に主人公に近づいて親しくなる友人の謎めきかたが凄いです。
とにかくセリフが少なく説明も少なく。
それでいて時間経過のペースは早いので察しながら見る感じです。
冒頭から結構LGBT臭は強めでしたがそこはなかなか繊細で微妙でした。
釣りがなかなかキーになっていて。
地方都市で暮らす若者たちの平日の暮らし、部屋飲みの雰囲気、休日の釣りはなかなか良いクオリティでした。
竜盤には震災等ありなかなか急展開な雰囲気もありますが。
震災の描写はほぼなく、会話の中で描写されるタイプでした。
とにかく説明は少なくセリフも少なく、友人の二面性の反対側は主に周辺の人間が作る感じで。
それは謎めき映画にとってはいい方法だと思います。
主演の綾野剛は今やすっかりカメレオン俳優の称号を手にしてる感じですが今作もなりきりっぷりはなかなかでした。
かなりおとなしく草食系な感じで、筋肉も落として痩せてるような雰囲気で。
それでもなかなかの肉体美でそれを披露する場面もやけに多かったです。
なよなよで優しく不思議といつの間にか友人に絆を持っていた感じは印象的でした。
好みの松田龍平はらしい役どころでした。
やたら社交的なわり謎めいたプライバシー領域をやたら持ってる感じの説得力は流石の表現力でした。
このキャラクターの二面性が物語の柱ですが裏の部分はとことん見せない感じは良かったです。
筒井真理子はこの手の作品にピッタリの女優ですね。
妙に事情がありそうな感じの出し方は素晴らしいです。
好みの中村倫也が出ていましたがニューハーフで僅かな出番でした。
安田顕も作品のテイストにピッタリでしたが出番は少なめでした。
個人的には結構好みですが全体的な味付けと後味含め全部中途半端な印象もありました。
もっとダークな描写でも良かったかなと思いました。
そんなわけで6点。
を観ました。
今野秋一(綾野剛)は、会社の転勤をきっかけに移り住んだ岩手・盛岡で、同じ年の同僚、日浅典博(松田龍平)と出会う。慣れない地でただ一人、日浅に心を許していく今野。二人で酒を酌み交わし、二人で釣りをし、たわいもないことで笑う…まるで遅れてやってきたかのような成熟した青春の日々に、今野は言いようのない心地よさを感じていた。
夜釣りに出かけたある晩、些細なことで雰囲気が悪くなった二人。流木の焚火に照らされた日浅は、「知った気になるなよ。人を見る時はな、その裏側、影の一番濃い所を見るんだよ」と今野を見つめたまま言う。突然の態度の変化に戸惑う今野は、朝まで飲もうと言う日浅の誘いを断り帰宅。しかしそれが、今野が日浅と会った最後の日となるのだった—。
数か月後、今野は会社帰りに同僚の西山(筒井真理子)に呼び止められる。西山は日浅が行方不明、もしかしたら死んでしまったかもしれないと話し始める。そして、日浅に金を貸してもいることを明かした。日浅の足跡を辿りはじめた今野は、日浅の父親・征吾(國村隼)に会い「捜索願を出すべき」と進言するも、「息子とは縁を切った。捜索願は出さない」と素っ気なく返される。さらに日浅の兄・馨(安田顕)からは「あんな奴、どこでも生きていける」と突き放されてしまう。
そして見えてきたのは、これまで自分が見てきた彼とは全く違う別の顔だった。
陽の光の下、ともに時を過ごしたあの男の“本当”はどこにあるのか—。
大友啓史監督です。
ハリウッド思考なエンターテイメント作品のイメージが強かったですが、徐々にインディペンデントテイストな作家性の強い作品になってきました。
今作も世の一般的な大友啓史作品を期待して見たら相当裏切られる内容でしょう。
冒頭から相当セリフが無く説明は無く、なにか意味深で良くないことになっている感じで。
東日本大震災の闇なんかも最初に提示してくるので世の中綺麗事だらけではないと知らしめられる感じでした。
説明は無いですが、近年あるあるの構造で過去に遡って冒頭のシーンに行き着くまでを描く流れです。
岩手に転勤している男の何気ない暮らしを妙に暗く陰鬱に描いていきます。
それも結構長尺で取り留めもない感じで描くのですがそれが作品に良い湿度みたいなものを与えています。
唐突に主人公に近づいて親しくなる友人の謎めきかたが凄いです。
とにかくセリフが少なく説明も少なく。
それでいて時間経過のペースは早いので察しながら見る感じです。
冒頭から結構LGBT臭は強めでしたがそこはなかなか繊細で微妙でした。
釣りがなかなかキーになっていて。
地方都市で暮らす若者たちの平日の暮らし、部屋飲みの雰囲気、休日の釣りはなかなか良いクオリティでした。
竜盤には震災等ありなかなか急展開な雰囲気もありますが。
震災の描写はほぼなく、会話の中で描写されるタイプでした。
とにかく説明は少なくセリフも少なく、友人の二面性の反対側は主に周辺の人間が作る感じで。
それは謎めき映画にとってはいい方法だと思います。
主演の綾野剛は今やすっかりカメレオン俳優の称号を手にしてる感じですが今作もなりきりっぷりはなかなかでした。
かなりおとなしく草食系な感じで、筋肉も落として痩せてるような雰囲気で。
それでもなかなかの肉体美でそれを披露する場面もやけに多かったです。
なよなよで優しく不思議といつの間にか友人に絆を持っていた感じは印象的でした。
好みの松田龍平はらしい役どころでした。
やたら社交的なわり謎めいたプライバシー領域をやたら持ってる感じの説得力は流石の表現力でした。
このキャラクターの二面性が物語の柱ですが裏の部分はとことん見せない感じは良かったです。
筒井真理子はこの手の作品にピッタリの女優ですね。
妙に事情がありそうな感じの出し方は素晴らしいです。
好みの中村倫也が出ていましたがニューハーフで僅かな出番でした。
安田顕も作品のテイストにピッタリでしたが出番は少なめでした。
個人的には結構好みですが全体的な味付けと後味含め全部中途半端な印象もありました。
もっとダークな描写でも良かったかなと思いました。
そんなわけで6点。