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大怪獣のあとしまつ

2022年02月07日 | 映画
大怪獣のあとしまつ
を観ました。


人類を未曽有の恐怖に陥れた大怪獣が、ある日突然、死んだ。
国民は歓喜に沸き、政府は怪獣の死体に「希望」と名付けるなど国全体が安堵に浸る一方で、河川の上に横たわる巨大な死体は腐敗による体温上昇で徐々に膨張が進み、ガス爆発の危機が迫っていることが判明。
大怪獣の死体が爆発し、漏れ出したガスによって周囲が汚染される事態になれば国民は混乱し、国家崩壊にもつながりかねない。終焉へのカウントダウンは始まった。
しかし、首相や大臣らは「大怪獣の死体処理」という前代未聞の難問を前に、不毛な議論を重ね右往左往を繰り返すばかり・・・。
絶望的な時間との闘いの中、国民の運命を懸けて死体処理という極秘ミッションを任されたのは、数年前に突然姿を消した過去をもつ首相直轄組織・特務隊の隊員である帯刀アラタだった。
そして、この死体処理ミッションには環境大臣の秘書官として、アラタの元恋人である雨音ユキノ(土屋太鳳)も関わっていた。
果たして、アラタは爆発を阻止し、大怪獣の死体をあとしまつできるのか!?
そして彼に託された本当の〈使命〉とは一体―!?


三木聡監督作品です。
毎度言わせてもらいますが、三木聡が手掛けるバラエティを観て育ったので、
自分の青春でありアイデンティティの構築に非常に重要だった監督です。
映画もずっとリアルタイムで見てきていますが全部好きで自分にとっては非常に特別です。

今作も三木聡監督ならではの発想でバカバカしいことをお金かけて豪華キャストでやってて最高です。
シュールなコメディの連続でずっと心地良かったですね。
こういうテーマのものを作ろうと思うことがそもそも好きです。

タイトルの通りですが、さんざん怪獣作品が作られて来たのに一切描かれて来なかった部分にフォーカスするのが最高ですね。
大怪獣の死体を処分しようとしたり観光資源にしようとしたり。
ただ腐敗や匂いや移動できない問題があったり。

結構想像できうる問題と上手く行きそうで上手く行かないグズグズを登場人物たちはシリアスで描いたり。
ハイテンポなカット割りと無意味でバカバカしい会話を入れ込んだりらしさ全開でした。

死体にメリットがあると思うと韓国をモデルにしたような隣国が、死体は我々のものだ!と理不尽に言ってきたり。
死体がガスを出し始めたら、こっちに害があったら抗議する!と手のひらを返したり。
そういうのをさらっと入れ込んでくるのも痛快でした。

円谷プロふうなちょっと古さを感じさせるSF描写も作品の世界観をいい感じに際立たせていました。
大怪獣を途中で排泄物のように捉えダムを利用して水洗しようとするのは痛快でしたね。
何も予定調和的じゃないいきあたりばったり感のストーリーはとても好みでした。

今回は巨大な素材を扱っているので結構スケール感のある物語と思いきや、
やっぱりいつものこじんまりとした箱庭のような雰囲気がしっかりあるのは流石でした。

政治家たちの真面目っぽい場面でイチイチ意味不明の発言をさせるのも非常に面白かったです。
くだらないことほど真面目っぽく壮大に描くのがイチイチ痛快でした。

三木聡監督は人気俳優もしっかり三木聡ワールドの住人にしてしまうのが凄いです。
ジャニーズだろうと売れっ子俳優だろうとそれは平等です。

こういうくだらないテーマをトップクラスの役者とスタッフで作る天才・三木聡の健在っぷりが嬉しかったです。

主演は山田涼介でした。
シリアスで真面目なキャラクターでとても見心地が良かったです。
この子はかなりルックスも良いし演技も良いしもっとビッグの扱いされて良い気がします。
いろんな大物監督作品にコンスタントに出ているのでもっともっと活躍できそうな気がします。

ヒロインは土屋太鳳でした。
この子はどんな作品でも真面目さの空気感があっていいですね。
この子がシリアスなので作品の馬鹿らしさとのコントラストもいい感じでした。
相変わらず可愛くて好印象な雰囲気がとても好きです。

悪役的な邪魔するポジションで濱田岳が出ていました。
何かモデルがあるような、この作品の中ではいい感じで悪い存在感を放っていました。

西田敏行をはじめ、六角精児、嶋田久作、笹野高史、MEGUMI、SUMIRE、田中要次、眞島秀和など豪華な脇役も流石でした。

そして三木聡組の
岩松了、ふせえり、松重豊、村松利史などのお約束の面々も健在でした。
昔は三木聡作品専門の役者にも思うほどでしたがみんなすっかり売れっ子になった印象です。

オダギリジョー、二階堂ふみや菊地凛子、染谷将太夫婦もコンビで出ていて豪華でした。

三木聡作品の見方を知らない人は戸惑ったりつまらないと思うかも知れませんが、
好きな人の期待は裏切らない最高にハイセンスな映画でした。


そんなわけで8点。

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