君の名前で僕を呼んで
を観ました。
1983年夏、北イタリアの避暑地。
17歳のエリオは、アメリカからやって来た24歳の大学院生オリヴァーと出会う。
彼は大学教授の父の助手で、夏の間をエリオたち家族と暮らす。
はじめは自信に満ちたオリヴァーの態度に反発を感じるエリオだったが、まるで不思議な磁石があるように、ふたりは引きつけあったり反発したり、いつしか近づいていく。
やがて激しく恋に落ちるふたり。
しかし夏の終わりとともにオリヴァーが去る日が近づく……。
ルカ・グァダニーノ監督作品です。
前情報的にはゲイ関係の映画だろうな、ってくらいでしたが、いやはやコレはなかなか凄い映画でした。
いかにもなヨーロッパ映画ってかんじで非常にアーティスティックで哲学的で。
一生忘れられない映画になると思います。
いかにもハイセンスなイタリア映画なのでかなり上級者向けな映画だと思いますが、名画です。
個人的には妙に惹かれるイタリアの田舎の舞台がそもそもたまらなかったです。
日本で言うならば是枝作品のような、かなりナチュラル演出な映画で。
もうセンスがハイレベル過ぎてずっと刺激的でした。
勝手な映画作りというものの妄想ですが、
普通映画を撮るためにカメラを回すとして、もちろん無駄な部分が生まれるので上手に編集していくと思うのですが、
そこを切らずにつかってしまう、みたいな映画にハイセンスを感じるのですが。
この映画は逆に物語部分ではない余白のようなシーンだらけで。
本来は編集で切ってしまうような登場人物達のナチュラルシーンばかりで。
なので説明もほぼ無いのですが、僅かな行動に登場人物達の心理描写が描かれていて。
そこを繊細に汲み取っていかなければイケないような映画でした。
現実では無いのに何故か映画・ドラマで横行する説明ゼリフやら独り言で説明してしまうような場面などゼロなので。
そして登場人物達の行動がまた現実以上に人間味溢れていて。
でもリアルな恋愛のサインってコレくらい些細でナイーブだよなと思ったり。
説明は無いのであくまで自分の解釈ですが、
ゲイではない繊細で賢い男たちがお互いに惹かれてしまい、その壁をためらいながら越えていく様の描写が凄かったです。
賢すぎる男たちの苦悩って感じでした。
正直ゲイ作品とかそういうシーンってかなり苦手なのですが、この作品にはこれ以上ないほどの必然性がありました。
賢いことの苦悩ってこんな感じで描くことが可能なのだなと初めて知りました。
自分にも思春期は「世界で自分独りぼっち」みたいな気持ちになる苦悩がありました。
もしもわかり会える人とその時出会っていたらこういうケースになった可能性もあったかもですね。
いつもながらの言語問題ですが、その点ではこの映画は完璧でホントのヨーロッパの風景、質感がありました。
アメリカから来た男との交流なのでそのシーンは全部英語になりますが、家族や地元の人とはイタリア語。
何故かフランス語を喋っている女友達とはフランス語で話していました。
しかも時には片方はフランス語のまま、片方は英語のままで話したりしていました。
どっちも理解できる同士、話すのは得意な方でみたいな感じですね。
そんな場面自分も見たことあったなと思いました。
主人公のティモシー・シャラメは若いのに凄い俳優でした。
めちゃくちゃナチュラル演技で、ラブシーンの生々しさも凄かったです。
恥ずかしながら冗談っぽい雰囲気を出してためらいながらも相手の股間に手をのばすシーンとか見事でした。
ゲイモノを観るのが苦手な自分でも不思議と嫌悪感をいだきませんでした。
英語やフランス語やイタリア語も喋っていて素晴らしかったです。
年齢より若く見えてこういう役が出来るのは良いです。
アーミー・ハマーは過去にもJ・エドガーでゲイの役をやっていましたが、本物に見えるくらい素晴らしい役作りです。
知的な雰囲気にわずかにある不安定さの演技も見事でした。
何か妙に魔性の男って感じでした。
スパイをやればスパイになるのにこういう役も出来て素晴らしい俳優だと思います。
個人的にマイケル・スタールバーグが演じていた父親のクライマックスの語りが非常に印象的でした。
かなり哲学的な語りなのですが、十分な説得力のある雰囲気が出来ていました。
ドラマにするようなドラマティックな場面は無いのに、見終わったら結果ものすごいドラマティックな映画でした。
賢すぎる苦悩、哲学的な解釈、切なすぎる現実、穏やかで優しいイタリアの田舎の風景。
タイトルが既に哲学的でしたがそれ以上な内容でした。
忘れがたい映画でした。
そんなわけで9点。
を観ました。
1983年夏、北イタリアの避暑地。
17歳のエリオは、アメリカからやって来た24歳の大学院生オリヴァーと出会う。
彼は大学教授の父の助手で、夏の間をエリオたち家族と暮らす。
はじめは自信に満ちたオリヴァーの態度に反発を感じるエリオだったが、まるで不思議な磁石があるように、ふたりは引きつけあったり反発したり、いつしか近づいていく。
やがて激しく恋に落ちるふたり。
しかし夏の終わりとともにオリヴァーが去る日が近づく……。
ルカ・グァダニーノ監督作品です。
前情報的にはゲイ関係の映画だろうな、ってくらいでしたが、いやはやコレはなかなか凄い映画でした。
いかにもなヨーロッパ映画ってかんじで非常にアーティスティックで哲学的で。
一生忘れられない映画になると思います。
いかにもハイセンスなイタリア映画なのでかなり上級者向けな映画だと思いますが、名画です。
個人的には妙に惹かれるイタリアの田舎の舞台がそもそもたまらなかったです。
日本で言うならば是枝作品のような、かなりナチュラル演出な映画で。
もうセンスがハイレベル過ぎてずっと刺激的でした。
勝手な映画作りというものの妄想ですが、
普通映画を撮るためにカメラを回すとして、もちろん無駄な部分が生まれるので上手に編集していくと思うのですが、
そこを切らずにつかってしまう、みたいな映画にハイセンスを感じるのですが。
この映画は逆に物語部分ではない余白のようなシーンだらけで。
本来は編集で切ってしまうような登場人物達のナチュラルシーンばかりで。
なので説明もほぼ無いのですが、僅かな行動に登場人物達の心理描写が描かれていて。
そこを繊細に汲み取っていかなければイケないような映画でした。
現実では無いのに何故か映画・ドラマで横行する説明ゼリフやら独り言で説明してしまうような場面などゼロなので。
そして登場人物達の行動がまた現実以上に人間味溢れていて。
でもリアルな恋愛のサインってコレくらい些細でナイーブだよなと思ったり。
説明は無いのであくまで自分の解釈ですが、
ゲイではない繊細で賢い男たちがお互いに惹かれてしまい、その壁をためらいながら越えていく様の描写が凄かったです。
賢すぎる男たちの苦悩って感じでした。
正直ゲイ作品とかそういうシーンってかなり苦手なのですが、この作品にはこれ以上ないほどの必然性がありました。
賢いことの苦悩ってこんな感じで描くことが可能なのだなと初めて知りました。
自分にも思春期は「世界で自分独りぼっち」みたいな気持ちになる苦悩がありました。
もしもわかり会える人とその時出会っていたらこういうケースになった可能性もあったかもですね。
いつもながらの言語問題ですが、その点ではこの映画は完璧でホントのヨーロッパの風景、質感がありました。
アメリカから来た男との交流なのでそのシーンは全部英語になりますが、家族や地元の人とはイタリア語。
何故かフランス語を喋っている女友達とはフランス語で話していました。
しかも時には片方はフランス語のまま、片方は英語のままで話したりしていました。
どっちも理解できる同士、話すのは得意な方でみたいな感じですね。
そんな場面自分も見たことあったなと思いました。
主人公のティモシー・シャラメは若いのに凄い俳優でした。
めちゃくちゃナチュラル演技で、ラブシーンの生々しさも凄かったです。
恥ずかしながら冗談っぽい雰囲気を出してためらいながらも相手の股間に手をのばすシーンとか見事でした。
ゲイモノを観るのが苦手な自分でも不思議と嫌悪感をいだきませんでした。
英語やフランス語やイタリア語も喋っていて素晴らしかったです。
年齢より若く見えてこういう役が出来るのは良いです。
アーミー・ハマーは過去にもJ・エドガーでゲイの役をやっていましたが、本物に見えるくらい素晴らしい役作りです。
知的な雰囲気にわずかにある不安定さの演技も見事でした。
何か妙に魔性の男って感じでした。
スパイをやればスパイになるのにこういう役も出来て素晴らしい俳優だと思います。
個人的にマイケル・スタールバーグが演じていた父親のクライマックスの語りが非常に印象的でした。
かなり哲学的な語りなのですが、十分な説得力のある雰囲気が出来ていました。
ドラマにするようなドラマティックな場面は無いのに、見終わったら結果ものすごいドラマティックな映画でした。
賢すぎる苦悩、哲学的な解釈、切なすぎる現実、穏やかで優しいイタリアの田舎の風景。
タイトルが既に哲学的でしたがそれ以上な内容でした。
忘れがたい映画でした。
そんなわけで9点。