メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

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ラストレター

2020年01月19日 | 映画
ラストレター
を観ました。


裕里(松たか子)の姉の未咲が、亡くなった。裕里は葬儀の場で、未咲の面影を残す娘の鮎美(広瀬すず)から、未咲宛ての同窓会の案内と、未咲が鮎美に残した手紙の存在を告げられる。
未咲の死を知らせるために行った同窓会で、学校のヒロインだった姉と勘違いされてしまう裕里。
そしてその場で、初恋の相手・鏡史郎(福山雅治)と再会することに。
勘違いから始まった、裕里と鏡史郎の不思議な文通。
裕里は、未咲のふりをして、手紙を書き続ける。その内のひとつの手紙が鮎美に届いてしまったことで、鮎美は鏡史郎(回想・神木隆之介)と未咲(回想・広瀬すず)、そして裕里(回想・森七菜)の学生時代の淡い初恋の思い出を辿りだす。
ひょんなことから彼らを繋いだ手紙は、未咲の死の真相、そして過去と現在、心に蓋をしてきたそれぞれの初恋の想いを、時を超えて動かしていく―――


岩井俊二監督作品です。
非常に楽しみにしていた、愛してやまない青春そのものみたいな岩井俊二作品です。
自分の構成要素のそこそこの割合に岩井俊二は居る気がします。

若い女性2人のヒロイン、切ない運命を背負った女性、高校生の青春、大人になった人々の青春の回顧。
過去の岩井俊二作品の要素を大いに彷彿とさせる設定でした。正直もう若くはない松たか子をこういう使い方するのもとても岩井俊二らしかったです。
とても淡く切なく、適度な悲しみ具合で岩井俊二作品の中では歴代でも相当大衆向けな仕上がりだったと思います。
岩井俊二の方法論は邦画の大きなフォーマットになったと思うし、彼に影響を受けたクリエイターは沢山居るでしょう。

映画を沢山見てると”岩井俊二っぽい”って思う画質、アングル、演出は多々見かけます。
しかし本人はアップデートしているので昔とは違った質感でした。
新しいロマンチック映像の質感でした。
効果的に使われるドローン映像ですらロマンチックで一気に世界に引き込まれる爽快感でした。

比較的シンプルでわかりやすい序盤の展開、ほんのりコメディでほのぼので笑い声もちらほら。
ちょっと群像劇的にいくつかの目線で描かれます。
見てる人には関係性は明白ですが、登場人物たちはわからないことが多い中に居ます。
ただ中盤からちょっと複雑で集中しないといけないですね。

広瀬すずと森七菜は一人二役でそれが若干ややこしさも生みそうでしたがそれは流石に非常に効果的でした。
一人二役をやっているからこその感動シーンもあり流石だと思いました。

それにしても映像だけで涙を流させるもはやアートみたいな映像センスは相変わらずすごくて感服します。
クリアな空撮映像で動きを捉えるシーン、神木隆之介が広瀬すずに一目惚れするシーン、福山雅治が偶然的な出会いをするシーン、広瀬すずと森七菜が犬の散歩をするシーン。
この壮大なロマンチック作品を締めくくるラストカット。
ロマンチック度が凄すぎてただそのシーンだけでたまらなかったです。
トラウマになるほどロマンチックでした。

これだけトップオブトップなキャスティングが集まるのは流石な岩井俊二ですね。
過去の岩井俊二作品で重要な役をやった大物キャスト、中山美穂、豊川悦司も出ていて。
タイトルもそうですがLove Letterを思い出させますね。

全般的に控えめで良い世界観を生み出していた小林武史の音楽も良かったです。

主演の一人の松たか子はとても高評価していますが中でもキャリアハイくらいに素晴らしかったです。
ここに来て今までで一番可愛く見れるくらい綺麗に撮られていました。
演技は元々上手で素晴らしいですがここに来てどんどん円熟味が増していますね。
ルックスも演技も今もピークを更新している気がします。
非常にかわいいおばさんでした。

物語の柱となる小説家を演じた福山雅治は流石にイケメンで演技派でした。
それでいてちゃんと岩井俊二作品にチャンネルを合わせていて。
いつもより情けなく人間味のある一面もあってリアリティを感じさせました。
岩井俊二作品で福山雅治を見れることがそもそも幸せに思えました。

亡くなった女性の高校生時代とその娘の二役を演じた広瀬すずは言わずもがな最高でした。
花とアリスの鈴木杏と蒼井優の様に森七菜とのコンビでセットな配役ですが。
相変わらず絶頂に可愛くルックスや体型含め女子高生として全然ありでした。
一目惚れの対象になる女の子としてあまりに相応しく、それだけで奇跡的に思えるようなシーンがいくつかありました。
この世代でこの切ない空気感のなかでこの役を演じるには彼女しか居ないでしょう。

松たか子の高校生時代とその娘を森七菜が演じていました。
とにかくピュアに可愛くて豪華キャストの今作においてMVP級の出来でした。
一人だけ台本が渡されていないかの様にナチュラル演技で非常にハイレベルでした。
クールな広瀬すずに対して陽気なキャラでナチュラルシーンを生み出していて素晴らしかったです。
幼さの残る体型、佇まいだけど時々は大人っぽく見えたり、今が非常に刹那的ないい時期な気がします。
そんな奇跡的な時期に岩井俊二作品に出たことはかけがえのない出来事でしょう。
この短期間で新海誠、岩井俊二作品でヒロインをやり一気に若手トップの貫禄ですね。
岩井俊二作詞、小林武史作曲で主題歌も担当していてそのクオリティも素晴らしく音楽活動での成功も予感させました。

中山美穂はなかなか荒んだ夫婦の役で出てきましたが。
そういう役をやっても見事な存在感でした。
妙に余韻が強い言動で終盤のきっかけになるようなくだりがありました。

豊川悦司も同じく荒んだ悪役のようなポジションで出ていましたが。
圧倒的な存在感で非常にインパクトあるセリフを言っていました。

やはり岩井俊二作品は最高ですね。
岩井俊二作品らしい作品なのでファンは必見でしょう。

そんなわけで9点。

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